オピニオン/保健指導あれこれ
LGBTについて、学校保健分野・地域保健分野・産業保健分野で考える

No.2-2 LGBTと自殺、社会的養護、家族形成:自殺への対策

岡山大学大学院保健学研究科 研究科長
中塚 幹也

LGBTと自殺総合対策大綱

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 2012年の自殺総合対策大綱の改正では、新たな視点として「自殺の要因となり得る生活困窮、児童虐待、性暴力被害、ひきこもり、性的マイノリティ等は、関連するネットワークとの連携体制を確立して、より多くの関係者による包括的な生き支援を展開していくことが重要である」とした。こうして、GID(性同一性障害)学会が要望していた「性的マイノリティ」への支援が初めて盛り込まれました。

 この要望書では、岡山大学ジェンダークリニックを受診する性同一性障害当事者(トランスジェンダーのうちでも医療的な対応を求めて医療施設を受診した場合の診断名)における自殺念慮を持つ割合が高いこと(約6割)、また、自殺未遂の経験も高率に見られること(約3割)などのデータを示しました。

 自殺総合対策大綱の改正以降、各自治体における相談窓口の設置や、文部科学省の通知「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」(2015年)など、行政の動きも活発になっています。

 2017年にも再び改正されましたが、前回の改正と同様の文章は残り、性的マイノリティへの支援は、「教職員に対する普及啓発等」「自殺や自殺関連事象等に関する正しい知識の普及」などの項目の中でも取り上げられています。

当事者の自殺を予防するには、基礎的知識と具体的な対応を

 自殺総合対策大綱には、具体的な職場における支援として、「セクシュアルハラスメントは相手の性的指向又は性自認にかかわらず、該当することがあり得ることの周知」が必要であることが記載されています。

 さらに、地域における支援としては、「性的指向・性自認を理由としたものも含め、社会的なつながりが希薄な方々の相談先として、24時間365日無料の電話相談窓口(よりそいホットライン)を設置するとともに、必要に応じて面接相談や同行支援を実施して具体的な解決につなげる寄り添い支援を行う」などの記載が見られています。

 このように、各自治体においても地域保健に関与するスタッフは、自殺予防という視点でLGBT当事者への支援ができるように基礎的知識を持つことはもちろんですし、さらに具体的な対応を行うことが求められています。

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