1日8,500歩の歩行が長期的な減量維持につながる可能性
肥満治療における課題の1つである減量後の体重維持に向けて、1日の歩数を8,500歩とすることが役立つ可能性があるとする論文が「International Journal of Environmental Research and Public Health」に4月17日掲載された。モデナ・レッジョ・エミリア大学(イタリア)のMarwan El Ghoch氏らの研究の結果であり、第33回欧州肥満学会年次集会(ECO2026、5月12~15日、トルコ・イスタンブール)でも発表された。
論文の上席著者であるGhoch氏によると、「過体重や肥満の人が減量に成功したとしても、その約80%は3~5年以内に減った体重の一部、または元の体重に戻ってしまう傾向がある」という。そして同氏は、「この問題を解決して人々が減量後の体重を維持できるようにサポートする戦略を確立することは、臨床的に非常に大きな価値があるだろう」と、研究の背景を語っている。
Ghoch氏らは、過体重または肥満の人を対象として、生活習慣への介入による減量効果を検討したランダム化比較試験(RCT)についてシステマティックレビューとメタ解析を実施した。PubMedとScopusを用いた検索により18件のRCTをシステマティックレビューに組み入れ、このうち14件をメタ解析の対象とした。これらの研究の参加者数は合計3,758人(平均年齢は52.71±9.35歳)で、1,987人が生活習慣介入群、1,771人が対照群だった。
解析結果について、まず1日の歩数の変化に着目すると、ベースライン時においては介入群7,253歩、対照群7,129歩であり同等だった(P=0.3360)。平均7.88カ月(範囲3~12カ月)の介入終了時点では、介入群では8,454歩とベースラインよりも歩数が増えていた一方、対照群は7,486歩とベースラインから大きな変化はなく、両群間には有意差が認められた(P=0.0174)。さらに平均10.27カ月(範囲3~24カ月)の追跡終了時点においても、介入群では8,241歩と歩数が維持されていたのに対して、対照群は6,757歩であり、引き続き有意な群間差が認められた(P=0.0110)。
次に体重の変化に着目すると、ベースラインから介入終了時点にかけて、介入群では-4.39%(P<0.001)と有意な減量を達成していたのに対して、対照群は-1.25%(P=0.122)であり有意な変化は認められなかった。さらに追跡終了時点においても、介入群では、ベースラインとの比較で-3.28%(P=0.001)と有意な減量が維持され、介入終了時点との比較では+1.11%(P=0.342)と有意な体重増加は認められなかった。対照群では、ベースラインとの比較(-0.99%、P=0.272)および介入終了時点との比較(+0.27%、P=0.812)のいずれにおいても有意な体重変化は認められなかった。
これらの結果に基づきGhoch氏は、「減量プログラムの参加者には、目標の達成とリバウンドを防ぐことを目的として、減量期間中に1日の歩数を約8,500歩まで増やし、維持期に入ってもそのレベルの運動量を維持するように推奨すべきだ。この方法は、リバウンド防止のためのシンプルかつコストのかからない方法である」と述べている。
[HealthDay News 2026年5月11日]
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