大腸がん検診採便「1回法」へ、乳がんは高濃度乳房の通知体制を整備 【第46回がん検診のあり方に関する検討会】
2026年3月23日に開催された第46回「がん検診のあり方に関する検討会」(厚生労働省)で、大腸がん検診の便潜血検査免疫法について、現行の「2回法」から「1回法」への見直しを進める方向性が概ね了承された。受診者負担の軽減や検体提出率向上などが期待されている。
また、乳がん検診では、高濃度乳房に関する受診者への通知体制整備を進める方針も確認された。
大腸がん検診に関する指針改正は2026年度中に行われ、2027年度から適用される見込み。
大腸がん検診、採便「1回法」導入へ 負担軽減と提出率向上を期待
今回の検討会では、大腸がん検診の見直し方針が示された。現行の指針では免疫学的便潜血検査を用いた「2回法」が基本とされているが、受診者の負担軽減および提出率向上を目的として「1回法」に見直す方針が了承された。
今回の見直しの根拠となったのは、『有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版』だ。
同ガイドラインでは、採便1回法について、受診者負担の軽減や検体提出率向上の可能性などが示されており、国際的にも導入例があることから、対策型検診への導入が検討された。
また、2回法と1回法で検体提出率を比較した研究では、1回法で有意に提出率が向上していた。採便回数を減らすことで受診者の負担軽減につながり、結果として検体提出率の改善が期待される。
検討会では「採便回数を2回から1回に変更した場合に、受診率が上昇するのかなどのモニタリング・フォローも行ってほしい」との意見が上がり、変更後の検体提出率や受診状況を継続的に把握していく必要性が確認された。
今後は、提出率だけでなく、精密検査受診率やがん発見率などへの影響についても継続的な評価が求められる。
精密検査法の個別記載を削除へ 最新知見に応じた運用を想定
検討会では、検診間隔は従来どおり「年1回」を維持するとされた。さらに、厚生労働省から精密検査の方法については、指針から個別の検査手法の具体的記載を削除する案が示された。
その背景には、大腸がん検診の項目にのみ精密検査手法が具体的に記載されていることに加え、消化器がん検診学会のマニュアルでは大腸CT検査も精密検査の選択肢となりうることが記載されていることから、医学的知見の更新に柔軟に対応するための措置とされている。
一方で、「適切な精密検査の実施」をどのように担保するかが課題として残り、構成員からも「精密検査の質・精度担保の重要性を一定程度、指針に記載すべき」との指摘がなされた。
※クリックで拡大できます
出典:「第46回がん検診のあり方に関する検討会 資料1」(厚生労働省)
高濃度乳房の通知体制を整備へ 説明資材・Q&Aも作成
乳がん検診に関しては、「高濃度乳房」の取り扱いが主要議題となった。
現在、乳がん検診は、指針で検査項目は問診および乳房エックス線検査(マンモグラフィ)とし、対象者は40歳以上、受診間隔は2年に1回とすることなどが示されている。
しかし、日本人女性の40歳代の約65%は、高濃度乳房に該当するとされる。マンモグラフィ画像上では乳腺が白く描出されるため、同様に白く写る腫瘤(病変)が隠れてしまい、乳がんを発見しにくいという課題が指摘されてきた。
そのため受診者に対し自身の乳房構成(高濃度乳房か否か)を通知する取り組みを進める方向が示されている。一方で、通知の在り方によっては受診者の不安の増大や過剰な追加検査につながる可能性も指摘されており、慎重な対応が求められていた。
そこで、「対策型乳がん検診における『乳房構成の通知』に関する見解」を共同で公表した日本乳癌検診学会・日本乳癌学会・日本乳がん検診精度管理中央機構の3団体と連携し、乳がん検診受診者に「乳房構成」を正しく通知することができるよう、今夏(2026年夏)を目途に、自治体が受診者に通知する際に活用可能な最新情報を踏まえた「説明資材」や「Q&A」などを示すこととした。
また、通知にあたっては、受診者が高濃度乳房と告げられた後のフォロー体制の整備が重要とされ、受診者からの相談対応や適切な情報提供を含めた支援体制の構築が求められる。
ただし、高濃度乳房であることを知らされた場合でも、一律に追加検査が必要となるわけではなく、まずは日常生活の中で乳房の変化に気づく「ブレスト・アウェアネス」の重要性を強調することが基本だとしている。
※クリックで拡大できます
出典:「第46回がん検診のあり方に関する検討会 資料2-1」(厚生労働省)
本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。


