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肥満の多い国にいる日本人は肥満になりやすい? 運動指導がポイント
2018年11月28日
海外に在留している日本人で、運動習慣のある人ほど、精神的の健康度が高いことが示された。
神戸大学などの研究グループが、肥満問題が深刻化しているマレーシアに在留する日本人を対象に、運動習慣の有無や座位時間の長さ、精神面の健康度について調査した。
神戸大学などの研究グループが、肥満問題が深刻化しているマレーシアに在留する日本人を対象に、運動習慣の有無や座位時間の長さ、精神面の健康度について調査した。
海外にいる日本人が運動を続けるのは難しい
海外在留邦人数(3ヵ月以上の海外在留者)は年々増加している。環境や文化の異なる海外に在留する日本人は、国内生活者に比べ運動を継続するのが難しいと考えられる。
また、日本人が海外に長時間在留していると、その国の生活習慣に順応しやすい。肥満の多い国では、肥満になりやすい生活習慣も共有してしまう可能性がある。
マレーシアでは、アジアの中でとくに肥満問題が深刻化している国だ。調査によると、マレーシアの成人の肥満率(BMI 25以上)は13.3%で、日本(3.3%)の4倍に達している。
マレーシアの肥満率は過去15年間で3倍に増加し、東南アジア主要国の中で最高となった。食事などの生活スタイルの欧米化や、自動車の普及とともに運動不足が増えたことなどが原因で、肥満の増加は社会問題になっている。
肥満の多い国にいる人は肥満になりやすい?
アジア大洋州地域では、2型糖尿病や心血管疾患などの非感染性疾患(NCD)が、死因の約8割を占める。これらは、生活習慣を改善することで予防が可能だと考えられている。
海外生活を長く送っている日本人が、その国の影響をもっとも受けて変わりやすいのは食生活だという。マレーシアへの在留が長くなるほど、食生活はマレーシア流になる。
一方、運動習慣は当人が自覚をもってコントロールすれば、時間を増やすことができる。座位時間も短くできる。
身体活動(運動やスポーツ、体を活発に動かす生活活動)を継続することは、肥満や2型糖尿病、高血圧やがんなど、さまざまな疾病の予防や改善につながり、要介護状態に陥るのを防ぐのにも効果的だ。
一方で、長時間の座位行動は、肥満、2型糖尿病、心疾患の発症など、健康状態にさまざまな悪影響を及ぼす。
運動をして座位時間が短いほど精神面でも健康
アジア地域は北米に次いで在留邦人数が多く、肥満の増加が問題になっている。それにともない高血圧、糖尿病、脂質異常症などの有病人口が急速に増加している。
研究グループは、マレーシアのペラ州イポー市に在留する日本人130人(有効回答108人)を対象に、運動行動、座位行動時間、健康に関連する生活の質と、年齢、性別、就労の有無などの社会人口学的要因などを調査した。
研究グループは「トランスセオレティカル・モデル」にもとづいて運動行動を調査し、運動習慣の違いによる、座位時間や健康関連QOL(生活の質)の精神健康度の差を明らかにした。
「トランスセオレティカル・モデル(行動変容段階モデル、TTM)」は、人がどのように健康行動を変容するかを理解するために用いられる。もともとは、喫煙などの不健康な習慣的行動の変容を説明あるいは予測するために開発されたものだったが、現在では身体活動・運動行動の研究分野でも使用されている。
その結果、運動をする習慣のある人は65.7%だった。20~30分以上の運動を週2~3回以上継続している人は、あまり運動をしない人たちよりも、1日あたりの座位時間が平均約135分短く、また、健康に関連する生活の質(精神的な側面)を表すスコアは平均約5.5点高い値を示した。
運動をいかに継続させるかが重要なポイント
「海外で生活する日本人に対して、座位時間の軽減、および健康に関連する生活の質の向上のために、運動行動を定着させる方法について検討する必要があります。運動をいかにして定期的に、かつ継続させるかが極めて重要なポイントです」と、研究者は述べている。
研究は、神戸大学大学院保健学研究科の井澤和大准教授、早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授らの研究グループによるもので、国際学術雑誌「Gerontology and Geriatric Medicine」に掲載された。
神戸大学大学院保健学研究科Sedentary Behavior and Health-Related Quality of Life Among Japanese Living Overseas(Gerontology and Geriatric Medicine)
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