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母親の更年期症状で子どものメンタルヘルスが悪化 症状が中等度以上でも低い受診率に課題

 国立成育医療研究センターの研究グループがこのほど、子育て中の母親の更年期症状と、思春期の子どものメンタルヘルスやリスク行動との関連を全国調査データで分析した。その結果、更年期症状が強い母親を持つ子どもほど、孤独感や不安、抑うつ、インターネット依存傾向などが高い可能性が示された。

 母親の更年期症状への早期対応や相談支援体制の整備、女性の健康に関する意識向上を進めることが、家庭全体のウェルビーイングを支え、間接的に子どものメンタルヘルス支援にもつながると研究者らは指摘している。

母親自身の健康が思春期の子どもの発達にも関係

 研究にあたったのは、国立成育医療研究センター・女性の健康総合センターの森崎菜穂氏、小宮ひろみ氏の研究グループ。

 全国の10~16歳の子どもとその保護者を対象とした大規模調査(国立成育医療研究センターのコロナ×こども本部「新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調」/2023年)から対象を抽出し、母子ペア1541組の回答を分析した。

 その結果、650人の母親(調査対象全体の42.2%)が更年期症状を自覚。このうち408人(同26.5%)は医師の診察が望ましい、中等度以上の更年期症状を抱えていたものの「医療機関を受診している」と答えた人は37人にとどまった。

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出典:国立成育医療研究センター

 さらに、母親の更年期症状と、子どものメンタルヘルスの関連を調べたところ、母親の更年期症状が「重度」の場合、「症状なし〜軽度」に比べて、子どものメンタルヘルスは「抑うつ」が3.9倍、「インターネット依存傾向」が6.46倍、リスクが高いことがわかった。

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出典:国立成育医療研究センター

 更年期症状が重い母親ほど、思春期の子どもとの関わりに困難を感じやすいことも明らかになっており、子ども自身にも孤独感・不安・抑うつが高く、インターネット依存の傾向がより強く示されるなどの影響が見られた。

 また、更年期症状の3つの領域(血管運動症状・心理症状・身体症状)のうち、心理的な更年期症状が、子どもの健康の悪化と最も強く関連していることも明らかになったという。

 これらの結果を受けて研究グループは、今後、更年期に関する正しい知識の普及と、適切な支援につながる環境整備が進むことで、母親自身の健康だけでなく、思春期の子どもの健やかな発達にも寄与する可能性があると示唆。

 「横断的なデザインであるため因果関係を直接示すものではない」としつつも、「本研究の知見が周知されることで、家族支援・思春期支援・女性の健康施策を連携した予防的アプローチとして進める一助となることが期待される」としている。

更年期症状のある母親の家庭では子どものメンタルヘルスが悪化 ~中等度以上の更年期症状があっても医療機関の受診率は10%未満~(国立成育医療研究センター/2026年1月22日)

[yoshioka]