小規模事業場のストレスチェック義務化へ向け実施マニュアル公表 外部資源活用による実務モデルを提示
令和7年の労働安全衛生法改正により、これまで努力義務にとどまっていた労働者50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの義務化が盛り込まれた(施行日は公布後3年以内に政令で定める予定)。
この義務化に向けた実務対応の具体化を図るため、厚生労働省は令和8年2月25日、「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表した。人材や体制が限られる小規模事業場で制度を形骸化させないためには、外部資源の活用と実務手順の明確化が重要となる。
小規模事業場への義務拡大の背景 実施率の低さと支援体制の不足
ストレスチェック制度は平成27年12月に施行され、労働者50人以上の事業場では年1回の実施が義務付けられてきた。一方、50人未満の小規模事業場では努力義務にとどまり、実施率は相対的に低い水準にとどまっていた。
小規模事業場では、産業医や保健師などの産業保健スタッフが配置されていない場合も多く、メンタルヘルス不調への対応が遅れやすいことが課題とされてきた。高ストレス状態にある労働者が専門的支援につながらないまま放置されるリスクも指摘されている。
こうした状況を踏まえ、厚生労働省は「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」で制度見直しを議論し、令和6年11月の中間とりまとめを経て、令和7年の労働安全衛生法改正において50人未満事業場への義務拡大が盛り込まれた。
今回公表されたマニュアルは、検討会での議論を踏まえ、小規模事業場でも実施可能な実務手順を整理したものである。
日本では労働者50人未満の事業場が全体の大半を占めており、これらの事業場への対策強化は、メンタルヘルス対策の裾野を広げるうえで重要な施策と位置付けられる。今回の義務化とマニュアル整備は、これまで制度の適用対象外とされてきた多くの労働者を、公的なメンタルヘルス対策の対象に取り込む施策として大きな意義を持つ。
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出典:「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル 」P.3(厚生労働省)
小規模事業場を前提とした実務設計 外部資源活用とプライバシー配慮を明示
今回のマニュアルの特徴は、50人未満事業場の実情を踏まえた現実的な実施体制・方法を具体的に示している点にある。
産業医が選任されていない事業場を前提に、地域の医療機関や外部の産業保健機関(産業保健総合支援センター等)との連携や、外部委託の活用が現実的な選択肢として提示されている。
また、労働者数が少ないほど個人が特定されやすい点を踏まえ、集団分析結果の取扱いや情報管理についても具体的な留意点が示されている。
実施体制については、事業場内に医療職がいない場合でも、衛生推進者等を実務担当者として配置し、外部機関を活用することで制度運用を可能とする考え方が整理されている。参考様式や標準的手順も提示されており、制度導入時の実務負担軽減につながる内容となっている。
マニュアルの主なポイントは、次のとおりだ。
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