AYA世代の口腔がんは「舌」「白い病変」に特徴 腫瘍の深さが予後予測の重要指標に
岡山大学らの研究グループはこのほど、思春期・若年成人(AYA世代/15~39歳)の口腔がんの症例を多施設共同で収集・調査した結果、AYA世代の早期口腔がんには高齢者と異なる特徴があることを明らかにした。
特に舌に発生しやすく、白板症のように粘膜表面を広がる病変が多いほか、腫瘍の深さが予後を予測する重要な指標となることなどが分かった。
AYA世代の早期の口腔がんは高齢者とは異なる特徴
1980年代以降、若年者に発症する口腔扁平上皮がんの増加が報告され、近年も同様の傾向が指摘されている。一方、AYA世代では発症頻度が低いため、特に早期がんの特徴や予後、適切な治療・術後管理について十分な知見がなかった。
そこで岡山大学学術研究院医歯薬学域の小野早和子助教らは大阪大学、大阪歯科大学、香川大学、長崎大学、新潟大学、日本歯科大学、藤田医科大学、松本歯科大学との多施設共同研究で、AYA世代に発症した早期の口腔扁平上皮がんの症例を収集し、臨床病理学的特徴と予後因子を解析した。
その結果、AYA世代では舌に発生する割合が高く、白板症のように粘膜表面を広がる「表在型」の症例が多く認められた。また、がんの先端部分でがん細胞が小さな集団となって周囲の組織へばらばらに浸潤する「tumor budding」など、特徴的な組織学的所見もみられた。
またAYA世代全体の予後は高齢者より良好だった一方、腫瘍の深さが5mmを超える症例では術後リンパ節転移や予後不良との関連も確認。腫瘍の深さが5mmを超える患者は5mm以下の患者に比べて生存率や再発なく経過する割合が低かったことから、腫瘍の深さがAYA世代の口腔がんの予後を予測する重要な指標であることが示された。
さらに、AYA世代の約30%で手術時には認められなかったリンパ節転移が術後に生じていた。これらの結果、腫瘍の深さに加えて腫瘍の厚さやtumor buddingも、術後リンパ節転移のリスク評価に役立つ可能性が示唆された。
研究グループはAYA世代の口腔がんの特徴を踏まえ、治りにくい舌のしこりや白い病変が続く場合は若い人でも早めに歯科・口腔外科を受診することが重要と指摘。また腫瘍の深さなどが術後リンパ節転移や予後不良に関連する可能性もあることから、患者ごとに適した経過観察や追加治療の検討に役立つことが期待される。
がんは高齢者だけの病気ではない―若い人にも起こる"くちのがん"― AYA世代に特有の特徴と予後を左右する指標を解明 ―(岡山大学/2026年8月6日)本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。


