地域・職域を通じた予防の働きかけが重要 令和6年度の市区町村健診・検診からみる生活習慣病予防の現状
厚生労働省は2026年3月、「令和6(2024)年度地域保健・健康増進事業報告の概況」を公表しました。本報告は、保健所や市区町村が実施する地域保健・健康増進事業の実施状況をまとめたものです。
今回はこのうち、生活習慣病予防や早期発見と関わりの深い、健康診査、歯周疾患検診・骨粗鬆症検診、がん検診の状況を抜粋して紹介します。
健康診査 糖尿病に関する個別健康教育対象者が多い
令和6(2024)年度に市区町村が実施した健康診査の受診者数は129,098人で、男61,023人、女68,075人でした。 検査結果の状況をみると、糖尿病個別健康教育対象者が最も多い結果でした。生活習慣病の発症予防・重症化予防に向けた保健指導の重要性がうかがえます(図1)。
図1 性別にみた健康診査における検査結果の状況
歯周疾患検診・骨粗鬆症検診 要精検者の割合は年齢とともに上昇
令和6(2024)年度に市区町村が実施した歯周疾患検診の受診者数は437,382人、骨粗鬆症検診の受診者数は329,674人でした。受診者数に占める要精検者の割合は、歯周疾患検診で64.2%、骨粗鬆症検診で16.7%でした。いずれの検診でも、年齢が上がるほど要精検者の割合が高くなる傾向がみられました(図2)。
歯周疾患は、口腔の健康だけでなく、全身の健康管理とも関わる重要なテーマです。
また、骨粗鬆症検診では、40歳から70歳にかけて要精検者の割合が上昇しており、中高年期以降の骨の健康を確認する機会としても重要です(図3)。
図2 歯周疾患検診の実施状況
図3 骨粗鬆症検診の実施状況
がん検診 胃がん・肺がん・大腸がんは6%前後で推移
令和6(2024)年度に市区町村が実施したがん検診の受診率は、「胃がん」6.7%、「肺がん」5.8%、「大腸がん」6.7%、「子宮頸がん」16.0%、「乳がん」16.1%でした。
乳がん、子宮頸がんの受診率が16%前後であるのに対し、胃がん、肺がん、大腸がんはいずれも6%前後にとどまっています。令和3(2021)年度以降の推移をみても、全体として大きな上昇はみられず、がん検診の受診勧奨や継続的な啓発が引き続き重要と考えられます(図4)。
図4 がん検診受診率の年次推移
地域・職域を通じた予防の働きかけが重要に
今回の結果からは、市区町村が実施する健診・検診が、生活習慣病の発症予防、重症化予防、早期発見のための重要な機会となっていることがわかります。
一方で、がん検診の受診率は横ばい傾向にあり、検診の対象者に必要な情報を届け、受診につなげる取り組みが課題となっています。地域保健と職域保健の双方で、健診・検診の意義をわかりやすく伝え、継続的な受診を促すことが求められます。
参 考
令和6(2024)年度地域保健・健康増進事業報告の概況(厚生労働省)
日本生活習慣病予防協会のご案内
「一無、二少、三多(※)」の健康標語を掲げ、生活習慣病の予防、啓発を目的に、情報発信、企業との連携活動などを行っております。(※一無:禁煙 二少:少食、少酒 三多:多動、多休、多接)
毎年2月には、「全国生活習慣病予防月間」を開催しています。テーマに沿った講演会や、関連団体・企業との協力関係のもと、全国的な啓発活動を行っています。HPでは保健指導の現場でも役立つポスター・リーフレット等の啓発資材配布を行っていますので、ご活用ください。
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