11月は「過労死等防止啓発月間」 長時間労働は企業規模や業種によって差 時間外労働の上限規制などを周知

厚生労働省では11月を過労死等防止啓発月間と定め、啓発活動を重点的に行っている。
今年は建設業や運送業、医師における時間外労働の上限規制適用が始まったことから、その周知も踏まえつつ、「過労死ゼロ」に向けた啓発を強化する。
過労死等とは、業務における過重な負荷による脳や心臓疾患を原因とする死亡、また強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡のことをいう。また死亡にいたらなくてもこれらの脳血管疾患や心臓疾患、精神障害も含む。
働き方改革などにより長時間労働は減少傾向にあるが、企業の規模や業種によって差があるのが現状で、このほど発表された「令和6年版 過労死等防止対策白書」でも課題が指摘されている。
そのため厚労省では過労死等防止啓発月間で集中的な取り組みを実施。ポスターやリーフレット、特設サイトなどを通した広報、また全国でシンポジウムを開催するなどし、過労死ゼロ達成に向けた啓発活動を強化する。
特設サイトでは相談窓口の確認やパンフレットのダウンロードができるほか、自治体・企業の取り組み事例も紹介されている。
働き方改革の一環として時間外労働の上限規制が労働基準法で規定されているが、業務の特性や取引慣行の課題をふまえ、これまで猶予されていた建設業やドライバー、医師にも今年4月から適用が開始されるようになった。
時間外労働の上限規制適用が完了したことから、その遵守徹底をはかるとともに、広く周知・啓発を行う必要がある。
その点もふまえて厚労省では同時期に「過重労働解消キャンペーン」も実施。長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導や、全国一斉の無料電話・SNS相談などを行う。
都道府県労働局長が各地域で、建設業や貨物自動車運送業の「ベストプラクティス企業」と意見交換する機会もある。これらの企業は取引先と協力しながら長時間労働削減に向けて積極的に取り組んでおり、好取組事例についてはホームページで今後、公開する予定。今年度のキャンペーン特設ページでは、昨年度の意見交換で収集された建設業関係2例、貨物自動車運送業関係7例の取り組み事例が公表されている。
また11月1日から7日までは「過重労働相談受付集中期間」として、都道府県労働局と労働基準監督署で、労働相談や労働基準関係法令違反が疑われる事業場の情報を積極的に受け入れる。
11月は「過労死等防止啓発月間」です(厚生労働省) 過労死等防止啓発月間特設サイト(厚生労働省) 過重労働解消キャンペーン特設サイト(厚生労働省)

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