熱中症予防対策の徹底を 2025年の職場の熱中症死傷者は1,803人で過去最多
厚生労働省は、令和7年(2025年)の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を取りまとめ、公表した。
職場での熱中症による死傷者数は1,803人と、2005年に統計を取り始めて以降で最多となった。一方、死亡者数は19人で、前年から減少した。
過去最多の死傷者数
職場での熱中症による死傷者数(死亡者および休業4日以上の業務上疾病者)は1,803人で、前年より546人(約43%)増加し、2005年に統計を取り始めて以降で最多となった。一方、死亡者数は19人で、前年より12人(約39%)減少した。
死傷者数が過去最多となった背景には、2025年の夏が記録的な高温となったことがある。気象庁によると、2025年6月~8月の平均気温偏差は、基準値(1991~2020年の30年平均値)を2.36℃上回り、統計開始以来最高を記録した。こうした気温上昇が、職場での熱中症による死傷者数増加の一因になったとみられる。
一方、熱中症の重篤化を防止するため、令和7年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行された。これにより、熱中症のおそれのある作業を行う際には、報告体制や熱中症の悪化を防止する措置の実施手順などを事業場ごとにあらかじめ定め、関係者に周知することなどが事業者に義務付けられた。
職場では、熱中症を早期に発見し、重篤化を防ぐための体制整備がより強く求められている。
死傷者数は7月と8月に集中、50歳代以上が半数以上
2025年の死傷者数を業種別で見ると、製造業が365人、建設業が292人と多かった。死亡者数は建設業が5人で最も多く、次いで警備業が3人だった。
月別では72%が7月または8月に集中していた。死亡者数も、約79%が7月または8月に発生している。時間帯別では、午前中や午後3時前後の被災者数が多い一方で、日中のいずれの時間帯でも発生していた。
2021年以降の5年間に発生した死傷者数を検証した結果、暑くなり始める6月から7月にかけて死傷者数が増加し、その後横ばいとなり、9月に急減する傾向がみられた。また時間帯別に見ると、気温が下がった17時台や18時台以降に死亡に至るケースもあった。これらには、日中には重篤な症状がみられなかったものの、作業終了後や帰宅後に体調が悪化した事案も含まれている。
2025年の死傷者数を年齢別に見ると、50歳代以上が全体の約52%を占めていた。死亡者に限ると、50歳代以上で全体の約84%に上った。一般に、年齢が上がるほど暑さや水分不足に対する感覚機能が低下するなど、熱中症を発症するリスクが高まるとされており、高年齢の労働者に対する熱中症の重篤化防止が急がれる。
死亡災害の事例
2025年の熱中症による死亡災害の事例19件は、すべて男性だった。被災場所は屋内が4件、屋外が15件だった。このうち、糖尿病や高血圧症など、熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病や所見を有していることが明らかな事例は9件あった。
<死亡災害の例>
事例1.【7月、産業廃棄物処理業、40歳代、屋外、気温38.0℃、WBGT値28.3℃】
被災者は工場内で、ファン付き作業服を着用し、不燃ごみのペットボトル選別作業に従事していた。終業前に清掃作業をするため、屋外で竹ぼうきを使用して掃き掃除をしていたところ、意識が朦朧として倒れそうになり、同僚に助けられた。その後、事務所へ向かう途中で意識を失ったため救急搬送された。搬送先の病院で療養していたが、容体が急変し、3か月後に死亡した。
事例2.【7月、新聞配達業・50歳代、屋外、気温33.3℃、WBGT値29.6℃】
被災者は13時頃から屋外で新聞の配達業務に従事し、16時頃に業務を終え、徒歩で帰路についた。帰宅途中に倒れているところを通行人に発見され、救急搬送されたが、死亡した。
職場での熱中症防止を
厚労省は、令和8年5月1日から9月30日まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しており、関係団体と連携して、職場における熱中症予防対策の徹底を呼びかけている。
また厚生労働省の「職場における熱中症ポータルサイト」では、「職場における熱中症防止のためのガイドライン」や「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」などを掲載。熱中症の効果的な防止に役立つ情報をまとめ、組織内の体制整備やリスクの適切な把握方法などを事業者に啓発している。
令和7年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します(厚生労働省/2026年5月27日)職場における熱中症ポータルサイト(厚生労働省)
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