労働災害発生の頻度はわずかに低下-令和6年「労働災害動向調査」より

厚生労働省はこのほど、「労働災害動向調査」の結果を取りまとめ、公表した。
主要産業における労働災害の発生状況を明らかにすることが目的。結果によると、労働災害発生の頻度は前年より低下した。
労働災害とは、業務に起因した労働者の負傷、疾病、および死亡のことをいう。ただし、じん肺や振動障害といった遅発性のものや、感染症などは除く。
今回は100人以上の常用労働者を雇用する1万60事業所と、総合工事業の延べ4661工事現場について結果を集計した。
事業所調査のまとめによると、労働災害発生の頻度を表す「度数率」(100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数)は2.10で、前年の2.14より低下した。
産業別に度数率を見ると「漁業」が8.98、「農業、林業」が7.95、「生活関連サービス業、娯楽業(一部)」が6.59と高い。そのほかは「製造業」が1.30、「運輸業、郵便業」が3.55、「卸売業、小売業」が2.60、「医療、福祉(一部)」が2.18など。
一方、労働災害の重さの程度を表す「強度率」(1000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数)は0.09で、2017年以降、横ばいが続いている。産業別では「生活関連サービス業、娯楽業(一部)」が0.34、「漁業」が0.29、「運輸業、郵便業」が0.23と高い。
また死傷者1人平均労働損失日数(労働災害による死傷者の延べ労働損失日数を死傷者数で除したもの)は43.5日で前年の40.0日に比べて増加。無災害事業所の割合は53.1%で、前年の52.4%より増えた。
事業所規模別では、従業員1000人以上の場合、度数率は0.59(前年0.56)、強度率は0.03(同0.02)だったのに対し、100〜299人では度数率が2.89(同2.91)、強度率が0.13(同0.12)。度数率、強度率ともに、事業規模が小さくなるほど高い。
一方、総合工事業における労働災害状況は、度数率が1.91で前年の1.69を上回った。強度率は0.57(前年0.29)、死傷者1人平均労働損失日数は296.6日(同174.2日)といずれも上昇/増加していた。
令和6年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の概況(厚生労働省)

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