オピニオン/保健指導あれこれ
ケアのちから

No.3 "地域まるごとケア"と「住民力」

ノンフィクション・ライター
中澤 まゆみ
 ふたつ目は、「地域」の社会資源は医療や介護の専門職だけではない、ということです。八百屋や工務店のオヤジさんも、隣のおばちゃんもタクシーの運ちゃんも、警察官も行政マンも、その地域に住み暮らしていれば「住民」です。そうした地域の社会資源が、医療や介護の専門職とともに「ケアの必要な人とその家族」(高齢者だけではなく、障害者も子どもも)を支えるのが、"地域まるごとケア"だと思います。

 今回、全国の医療・福祉関係「住民参加の好事例」を50例ほど集めてみました。そこに共通しているのは、従来の「町内会、自治会、民生委員、NPOなど」を超えた、地域の社会資源総動員による「コミュニティづくり=地域の再生」です。ヘルスケアだけではなく、防災、育児、教育などを含めた「まちづくり」の構築を考えている人たちもいます。

 私が参加している世田谷の会は、もともとは「区と区民と事業者の協働事業」という区からの呼びかけで始まりました。2008年といえば「協働」が行政のトレンドだった時期です。しかし、「事業」は3年で終わり、その後、継続を提言しても行政は「協働」についてウンともスンとも言わなくなりました。

 しかし、今こそ、すべてのステークホルダー(医療・介護・病院・施設・住民、そして行政)が横並びでつながる、本当の意味での「協働」が必要な時代です。なかでも、縦割り構造の制度を超え、安心して暮らせ、安心して老いることができ、そこで生涯を終えることができるまちをつないでいくことができるのが、そこで暮らす「住民」です。

 住民参加のかたちは、見守り・生活支援・居場所・まちづくり系、医療支援・コミュニティヘルスケア系に加え、全国100か所以上に広がった「認知症カフェ」、函館から全国で増殖中の「ケアカフェ」、ただいま全国で4か所の「ケアラーズ・カフェ」などのカフェ系、そして、その数、数百の患者会など、さまざまに広がっています。

【開催案内(2014/1/18)】
第7回区民の視点で考えるシンポジウム「高齢社会の未来は住民力で」

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