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より効果的な行動変容の促しを行うために必要なこととは?


(2016/07/06)
No.3 受診率アップのアイディアから見えた保健師の本音と現状
 本当はこんなことがしたいの!
 No.2でご紹介したように、市町村保健師から受診率アップのためのアイディアを集めたところ『日時や制度の見直し』が第1位になりました。受診者側が考える理由と同じです。

 しかし、長年保健師の皆さんとの交流を持ってきた私には、気になる3つのことがありました。ひとつは、同率第2位『住民と話す機会を増やす』と第6位『保健師の働き方を改善』についてです。ここに、

・もっと地域に出て住民と直接話したい
・上から降りてくる事業が多くて住民と接する時間が取れない
・事務作業をもっと減らしたい

 との、現場の切なる気持ちが込められていると感じたからです。アンケートの自由記述には、それを裏付けるかのように、、

・地域の拠点に入り込んだ保健活動がしたい
・事業ありきをなくし、地域づくりを中心とした活動に変換したい
・気軽に訪問に行けたらいいのに……
・全戸訪問し、もっとゆっくり住民さんと話をして思いを聞きたい

 などの書き込みが多く見られました。

「誰もはがき一枚で受診率が上がるなんて思っていません」
「私たちだってもっと住民と接する機会を持ち、直接の声がけがしたいのです!」

 そんな心の叫びを感じます。

 裏を返せば、そういう活動をしたいのだけど、今の体制ではなかなか実現できないとも読み取れます。

 医療機関との連携はうまくいっているのか?
 ふたつめは、同率第2位『関係者の連携強化』です。これは個別健診をお願いしている医療機関(医師)との関わりを指しているようです。

 個別健診は受診者が周囲の開業医などで健診を受けることができ、役所や保健師側は自分たちの手間が省けるメリットがあります。しかし、受診者に結果の説明をどれだけしっかりやっているのかが見えません。いや、ハッキリ言えば、診察のかたわら、たっぷり時間をとって予防の話をしてくれるような医師はとても少ないのです。これは私の経験してきた個別健診でも同じでした。

 保健指導が必要な数値なのに「不要」と判断されることもあります。ある数値を見て、保健師が「このままでは大変」と考えても、医師には「このくらいなら大丈夫」にされてしまうこともあります。

 要は保健師と医療機関の健診や予防に対する考え方が、しっかり共有されていない。もしくは、共有したくても(保健師側が)強く言えない。お願いしても受け流されている背景があるのではないでしょうか?
 アンケートの中にはそれを裏付けるかのように、

・医療(治療)部門での予防意識に欠ける医療従事者による保健指導の中止

 との記述もありました。これは個別健診を任せている医療機関の質の問題ともいえますが、もっと力を入れてやってもらうための「報酬や罰則」を国レベルで検討していく必要があると思われます。*詳細については、別の回で触れる予定です。

 そもそも、役所内で保健師はどんな存在なの?
 残りひとつは、第5位『役所内の意識改革』です。文字通り、役所内(上司や他部署)との連携、意思疎通がうまくいっていないということですね。自由記述を読んでみると、

・役所内で特定健診、がん検診、健康相談を行う部署がすべて異なるため、
 一本化したい
・役所の他課でも受診率向上の協力をしてほしい

 という意見があり、役所の縦割り組織ゆえの問題点を感じます。そのものズバリと、

・保健師の人数を増やしてほしい
・職員の意識改革が必要

 と明記している人もいました。私はこのアンケートに限らず、今までの取材の中でも、このような市町村保健師の声(本音)を何度も耳にしてきました。そこでいつも「保健師の仕事や専門性は、同じ役所内で認められているのだろうか?」との疑問を持ち続けてきました。

 採用時は『保健師』なのに、働き始めたら『保健にちょっと詳しい行政職』くらいの感覚で仕事を振り分けられているとでもいいましょうか……。なんだか歯車がかみ合っていないように思います。

 このように、保健師側が考える受診率を上げるためのアイディアからは、現在できていないこと。役所内や関係者との連携の問題点が複数浮かび上がってきました。名前や所属は一切出さないとの約束で答えていただいたものなので、学術的なアンケートとは少し違う内容だったかもしれませんが、現場で働く保健師の本音がよく出ていると感じました。

 その解決策については、次回以降でご紹介する、別のアンケートも踏まえたうえで、ご紹介していこうと思います。

 参考までに、これらの本音を知った講座のメンバーからは、

「自治体の保健師って、専門職として認められてないのですか?」(作業療法士)
「縦割り行政の弊害を感じます」(東京都区議)
「保健師がどれだけ地域に出ているのか、もっと知りたいと思った」(医学系出版編集者)
「保健師の確保やキャリアパスの確立が必要」(医師・大学教員)
「保健師の活躍を望みます」(厚生労働省検討会委員)
「健診に携わる医療機関への報酬と罰則を検討すべき」(大学教員)

 などの意見が寄せられたことも付け加えておきます。