オピニオン/保健指導あれこれ
コロナ禍二年目 私たちは何をしていこうか

No.2 教育・面談、いま私たちが心がけること

H Sプランニング/代表
亀ヶ谷 律子

手洗いの再学習を例に 予防も教育も「動画」の時代?

 皆さんはテレビドラマを観ていて、外出先から帰った主人公なりが、そのまますぐに食卓に着くのが気にならないだろうか。「外から帰ったらうがい手洗い」と覚え、看護師になる過程では徹底した清潔不潔の区分、手洗いも学習した。そうした立場から観たら、先述のシーンは何とも気持ち悪いもので落ち着かない。

 そこで、外から帰ったらうがいと手洗いをしようとはいつ習うのだろうと気になって、調べてみた。ご存じの方もおられるかもしれないが、幼稚園教育要領・保育所保育指針・幼保連携型認定こども園教育・保育要領それぞれにおいて、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が定められ、その中のひとつである「健康な心と体」の中に「身の回りを清潔にし」と「自分の健康に関心を持ち病気の予防などに必要な活動を進んで行う」「手洗い、歯磨きなど病気にかからないために必要な活動を自分からしよう」等の記載がある。
 つまり、小学校入学前から手洗いについては学ぶこととなっているが、それが習慣づかないまま大人になり、件のテレビドラマのシーンが普通になるのかもしれない。

 加えて幼少のころから身に付けてきたはずの“手指の洗い方”が怪しい。幼児のほうが正しい手洗いをしているようでもある。今更ながらでもあるが子供から大人にまで、正しい手洗い、マスク着用などの教育を継続し折に触れ伝えていくしかないと思われる。
 今後、帰宅時のドラマシーンを入れる場合、素敵な俳優がまっすぐ洗面に向かうか、このところ流行らしい玄関のミニ手洗い場で家族や恋人と会話すると良いなあと妄想を膨らませた。

 関連してもう一つ、ある会社では社員向けの感染症予防対策として医療職が大きく関与したポスターや動画の配信が行われている。文章の必読よりもやはり社員へのインパクトは大きく、見たらわかるWeb上での教育啓発は、今後ますますの発展が期待される。

テレワーク時代の注意点
―個人情報(健康情報)の取り扱いやさまざまな面談において―

 「3つの密」を避けながらの労働の形態としてテレワーク・在宅勤務にスムーズに移行できた企業は少しずつ増えてはいるが、まだまだ十分ではないと聞く。また、エッセンシャルワーカーと呼ばれる多くの方々には、そもそも在宅勤務は無縁の話だ。とはいえ、急速に広まったテレワーク、在宅勤務の発展には十分な体制整備と安全な仕組み構築が必要となる。

 まず、特に留意したいことの一つに個人情報の取り扱いがある。

 仮に社員が感染したとしよう。その場合、企業は公的機関の対応とは別に、感染報告のあった社員に加え、周囲の社員または関係者との接触の有無や場所を確認し、それを基に企業としての対策も独自にとる。この際、企業も本人も家族も動揺している中で、場の状況にのまれ不用意に提供すべきでない情報を共有しそうな場面も起こりうる。また、多数の関係者にメールでやり取りすることもある。

 くれぐれも個人情報の流出には気を付けるとともに、健康情報の取り扱いマニュアル等の見直し・整備をし、発症者や接触者の健康情報の取り扱いやプライバシー保護が十分になされるよう細心の注意を払う必要がある。

 もう一つ挙げたい。医療職が必ず行っていることの一つに、さまざまな個人面談の実施がある。これについても課題が集積されてきた。

 これまでどおり直接会って面談する場合も、密にならない面談室の環境整備の必要があり、さらには勤務制限の有無などの会社方針を十分理解したうえでの面談設定が求められる。また、Web上での面談の仕組みや体制づくりが喫緊の課題でもある。
 特にWeb上での面談を計画する際には、このところ急速にさまざまな報告がみられるようになったので、それらを参考に、通信機器の整備や通信方法、面談場所の検討に加え、面談実施者が個々の健康情報を無理なく取得できるのか、個人記録をどう保管し関係者と共有するか、対象者本人が決められたとおりに安心して面談を受けられる状況か、などの検討が必要となる。

 復職面談など、面談の目的によってはWeb面談にはあまり向かず、十分な検討が必要と考えられる種類のものもあるため、社員や会社の要望に安易に答えることなく、まずは関係者と十分に検討する時間を確保したい。(次回につづく)

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