厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
このほど厚生労働省は、地域・職域連携の推進を図るため「地域・職域連携ポータルサイト」を開設した。
超高齢社会を迎え、社会が多様化するなか、個々人の健康課題も多様化しており、「誰一人取り残さない健康づくり」を目指した『健康日本21(第三次)』も令和6年度からスタート。それを支える保健事業として地域保健と職域保健の連携事業は必要不可欠のものとなっている。
地域・職域連携の必要性
人生100年時代を迎えようとする現在、急速な少子高齢社会の到来や働き方改革などを背景に、国民のライフスタイルは大きく変化し、多様化してきた。保健事業のあり方も、時代に沿ったものに改善していくことが求められている。
保健事業は、健診(検診)制度などを例にみてもわかるように、乳幼児から高齢者までさまざまな制度を根拠に実施されている。ライフステージごとに複数の制度(母子保健法、健康保険法、国民健康保険法、労働安全衛生法、高齢者の医療の確保に関する法律など)に基づいているが、その目的や対象、実施主体、事業内容などがそれぞれ異なっているため、制度間の繋がりが十分とは言い難い。
従来から、保健事業の継続性が途絶えてしまうことや、地域全体の健康課題を正確に把握することの困難が指摘されてきた。
地域・職域連携推進とともに見えてきた課題
そこで、これらの課題を解決し、継続的かつ包括的な保健事業を展開していくため、厚生労働省では平成11年度から地域・職域連携のあり方について検討を重ね、平成16年度に「地域・職域連携推進事業ガイドライン」を策定し、連携推進事業を全国でスタートさせた。平成18年度にはガイドラインを改訂し、都道府県及び二次医療圏で「地域・職域連携推進協議会」を設置し、体制整備も進めてきた。
その結果、ほとんどの都道府県及び二次医療圏で協議会が設置、実施されるようになった。しかしながら、地域保健・職域保健に共通する健康課題やニーズを把握し、地域・職域が協働して健康教育や健康相談等を実施している協議会がある一方で、形式的に年1回の会議を実施する程度に留まっている協議会もあり、その状況に大きな差があることがわかってきた。
また、ガイドラインを改訂した平成18年度から現在までの期間に、保険者による特定健康診査・特定保健指導の実施や「健康日本21(第二次)」の中間評価の実施とそれを踏まえた「健康日本21(第三次))」の策定、データヘルス計画の作成などが進められてきた。
職域においては、労働力の高齢化が進むなか、疾病を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応や、入職時からの健康づくりの必要性が求められるようになった。同時に従業員の健康管理を経営的な視点で戦略的に実践する「健康経営」の考え方も拡がり、地域・職域それぞれの主体が青壮年・中年層を対象とした健康づくりの取り組みを、より効果的に推進するための新たな連携のあり方も模索されてきた。

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