耳鳴りのある成人の18%が勤務時間を減らすか離職をしている
慢性的な耳鳴りという症状を抱えている成人の18%が、勤務時間を減らすか離職を余儀なくされているという実態が報告された。英アングリア・ラスキン大学のEldre Beukes氏らの研究によるもので、詳細は「Brain Sciences」に1月28日掲載された。
耳鳴りは、外部からの聴覚刺激がないにもかかわらず音を知覚する状態と定義されている。有病率は約15%と推定され少なくないが、日常生活に支障を来すほどの耳鳴りを経験する患者は多くない。とはいえ、耳鳴りの症状は、静かな環境やストレス負荷の強い状況で悪化しやすく、集中力を要する勤務中も悪化する可能性がある。しかし、耳鳴りという症状が就労に及ぼす影響は十分調査されていない。
Beukes氏らは、耳鳴りに対するインターネットベースの心理的介入への参加を希望した患者449人のデータを用いて、耳鳴りが労働生産性や、不安、抑うつ、生活の質(QOL)などに及ぼす影響を検討した。研究参加の適格条件は、年齢が18歳超で3カ月以上にわたる耳鳴りを経験しており、その重症度が中等度以上であることなどとされ、耳鳴りに対する他の治療を受けている場合や、重度のうつ、精神疾患が併存する場合などは除外された。
解析対象者の平均年齢は54.4±13.4歳で、男性が49%であり、64%が就労中だった。また、耳鳴りの罹病期間は平均12年だった。なお、この対象のうち200人は心理的介入のほかに、インターネットベースの認知行動療法(ICBT)による介入も行われた。
解析の結果、治療介入を受ける前段階で「就労状況への影響はなかった」と回答した割合は81%だった。しかしその一方、11%の患者は治療介入前に労働時間を減らし、7%は離職しており、1%は障害手当を受給していると回答した。また、自己評価に基づく労働生産性は、介入後や介入終了2カ月後の追跡調査時と比較して、介入前は有意に低かった。
介入後には、耳鳴りによる苦痛(TFI)、不安(GAD-7)、抑うつ(PHQ-9)、不眠症症状(ISI)の改善と、健康関連QOL(EQ-5D-D-VAS)の向上が認められた。これらの結果を、就労状況が変化していない人と、勤務時間の短縮や離職をした人に分けて比較すると、TFI、GAD-7、ISIについては、就労状況が変化していない人の方がより大きく改善していた。PHQ-9とEQ-5D-D-VASについては、両群間の改善の程度に有意差がなかった。
このほかに、自由回答の質問に記載した310人での定性的な分析から、耳鳴りによる就労への影響を抑制するためには、注意力低下、疲労、コミュニケーションの困難さ、職務内容の調整といった課題のあることが浮き彫りになった。
Beukes氏は、「われわれの研究結果は予備的なものであり、介入の効果を評価するには対照群を設ける必要があった。しかし、耳鳴りという症状に焦点を絞った介入が、労働生産性と意欲の維持に役立つ可能性があるという、有望なエビデンスを得られた」と述べている。
[HealthDay News 2026年2月17日]
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