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職場の熱中症対策を体系化 WBGTに基づく選択型ガイドラインを策定

重篤化防止の効果と課題 発災現場では遵守に差

 2025年6月施行の安衛則改正については、一定の効果が確認されている。速報段階では、熱中症の重篤化による死亡災害の防止には寄与したと考えられている。

 一方、課題も浮かび上がった。労働基準監督署の調査によると、法令違反や是正指導が確認された事業場は全体では約6%であったのに対し、実際に熱中症が発生した事業場では約20%が何らかの指導を受けていた。熱中症が発生した現場ほど、法令遵守が不十分である実態が示されている。
 また、熱中症予防のための労働衛生教育の実施を確認できなかった事例や、糖尿病・高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者への配慮が不十分であった事例も報告されている。

補助制度と被災実態に乖離 年齢要件見直しを提言

 報告書では、支援制度のあり方についても重要な指摘がなされた。
 2020年度から実施されている「エイジフレンドリー補助金」では、高年齢労働者の安全衛生対策の一環として、体温を下げるための機能のある服をはじめとする機器の導入など、熱中症予防対策に要する経費の支援が行われてきた。

 しかし、休業4日以上の死傷者のうち60歳未満が7割以上を占めている。さらに建設業を対象とした調査では、重症被災者(休業4日以上)のうち60代以上は約29%にとどまっており、被災の中心は現役世代であることが示された。

 このように、補助対象と実際の被災者層との間に乖離があることから、報告書では年齢制限の見直しなど制度の再検討の必要性が提言されている。

今夏に向けて クールワークキャンペーンが始動

 ガイドライン策定とあわせ、厚生労働省は労働災害防止団体などと連携し、5月から9月まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施する。ガイドラインに基づく対策の周知・啓発を軸に、以下の3点を重点的に呼びかけるとしている。

  • WBGT値の把握と、その値に応じた熱中症予防対策の適切な実施
  • 熱中症の重篤化による死亡災害防止のための「早期発見のための体制整備」「重篤化防止措置の実施手順の作成」「関係作業者への周知」の徹底
  • 糖尿病・高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対する、医師等の意見を踏まえた個別配慮

 熱中症対策は、義務化に加え、リスクに応じた対策選択へと段階を進めた。産業保健スタッフには、WBGT値に基づく作業管理の支援や、有疾病労働者への就業上の配慮、教育の企画・実施などを通じて、現場と事業者をつなぐ実務的な役割が一層求められる。
 ガイドラインの実効性は、各事業場における具体的な運用と継続的な見直しにかかっている。

参 考

職場における熱中症防止のためのガイドライン|厚生労働省(2026年3月18日)
職場における熱中症防止対策に係る検討会 報告書|厚生労働省(2026年3月18日)
令和8年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します|厚生労働省(2026年3月19日)
職場における熱中症防止対策のための検討会 報告書 ~令和8年夏に向けて~|厚生労働省
職場における熱中症防止対策に係る検討会|厚生労働省
職場における熱中症予防情報|厚生労働省
熱中症予防のための情報・資料サイト|厚生労働省

[保健指導リソースガイド編集部]