勤務時間外に連絡する企業は7割 「つながらない権利」への企業対応 ルール整備は限定的
常時接続が当たり前となった現代社会では、労働者保護の観点から、勤務時間外に仕事上の電話やメールなどの連絡を拒否できる「つながらない権利」をめぐり、法制化やガイドライン整備に向けた議論が進んでいる。そうした中、帝国データバンクは「つながらない権利」に関する企業の動向アンケートを実施した。
「つながらない権利」の対応ルールがある企業は約1割
つながらない権利とは一般に、勤務時間外や休日に仕事の連絡を受けない、あるいは返答しない権利を指す。欧州では、つながらない権利の行使による不利益取り扱いの禁止や、使用者が労働者にアクセス可能な時間帯を明確化・制限することなどを法制化している国もある。
日本でも、厚生労働省の検討の中で、「勤務時間外に、どのような連絡までが許容でき、どのようなものは拒否することができることとするのか、業務方法や事業展開等を含めた総合的な社内ルールを労使で検討していくことが必要となる。このような話し合いを促進していくための積極的な方策(ガイドラインの策定等)を検討することが必要と考えられる」といった方向性が示されている。
帝国データバンクは2026年3月、「つながらない権利」について1232社を対象にインターネット調査を行った。その結果、勤務時間外の連絡に関する対応ルールが「ある」と答えた企業は11.6%にとどまった。内訳を見ると、ルールはあっても「勤務時間外に連絡することがある」と答えた企業が9.7%と大多数を占め、「ルールがあり、勤務時間外に連絡することはない」と答えた企業はわずか1.9%だった。
一方で、「ルールはない」とする企業は86.6%に上った。その内訳は、「ルールはないが、勤務時間外に連絡することはない」が26.3%、「ルールはなく、勤務時間外に連絡することがある」が60.3%だった。
これらの結果から、ルールの有無を問わず、勤務時間外に連絡をする企業は70.0%、連絡をしない企業は28.2%だったことがわかる。
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出典:「つながらない権利」に関する企業の動向アンケート(帝国データバンク)
企業規模別に見ると、「大企業」ではルールがある企業が13.9%と全体を上回った一方で、勤務時間外に連絡をする企業も79.8%と、全体を上回った。
また、「つながらない権利」を推進するうえで必要だと考える取り組みを尋ねた設問では、「明確なガイドライン策定」が49.3%で最も多かった。次いで「管理職への意識改革・研修」が44.1%、「従業員への意識改革・研修」が40.6%で続いた。「緊急連絡ルートの一本化」や「属人化の解消(担当者不在でも対応できる体制づくり)」、「社内連絡ツールの利用制限(勤務時間以外は電源オフ、ログ管理など)」にも一定の支持が集まった。
自由回答では、「時間外連絡が多い業種なので、ルールやガイドラインを作りつつも、例外があることを認識することが重要。時間外連絡が減るように仕向けるのも営業マンのテクニックと考えている」(サービス業/広告関連)、「緊急時に連絡が取れないと被害が拡大してしまうことがあり、万が一のときにはいつでも電話が取れるように社員にお願いしている」(サービス/メンテナンス・警備・検査)といった声もあり、業種の特性による環境や考え方の違いもうかがえた。
帝国データバンクは、「今後、いつでもどこでも連絡ができる現代だからこそ、業務とプライベートを切り分ける『つながらない権利』に関する議論は進み、ルールについても定める企業が増えるとみられる」としている。
「つながらない権利」に関する企業の動向アンケート(帝国データバンク/2026年3月13日)本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。


