高齢者のスマホ利用、うつとの関連は「使い方」が鍵
スマートフォン(スマホ)を利用する高齢者が増えているが、その使い方によっては、うつ症状と関連する可能性を示唆する研究結果が報告された。スマホを他者との交流目的に使わず、ニュースや動画の閲覧、ゲームなどの受動的な利用が中心になると、うつ症状との関連が強まるという。米ラトガース大学のChien-Chung Huang氏らの研究によるもので、詳細は「JMIR Aging」に掲載され、7月1日付で同大学からリリースが発行された。
論文の上席著者であるHuang氏は、「重要なのは、目的意識を持った交流に用いるか、強迫的な現実逃避のために使うかという問題に行き着く。スマホという同じデバイスが、愛する人や地域社会との溝を埋めることもあり、人とのつながりを遮る壁にもなることがある」と話している。
Huang氏らは、中国の広州市にある87カ所のソーシャルワークステーションで、60歳以上の地域在住者2,585人を対象として、スマホの使用習慣とうつ症状に関する調査を行った。その結果、他者との社会的な交流が限られていることが、うつ症状と最も強く関連しており、次いでスマホ依存状態も主要な関連因子であることが示された。また、臨床的なうつ症状が認められた人のほぼすべてで、スマホ依存が問題となっていることが分かった。特に、他者とのコミュニケーションツールとしてスマホをほとんど使わない人で、うつ症状との関連が最も強かった。
研究者らは、特にうつ症状との関連が強い二つの集団を特定した。一つ目は、教育歴が短く、スマホ依存の兆候があり、他者との交流機能をあまり利用しない高齢男性だった。研究者らは、この群ではデジタルリテラシーの低さなどが、スマホを受動的な娯楽目的で利用する傾向につながっている可能性を指摘している。また、配偶者やパートナーなど身近な人とのつながりを失った場合、社会的支援を得にくくなり、うつ症状につながる可能性があるという。Huang氏は、「パートナーを失い1人になったりすると、彼らはそれまでのような社会的な支えを喪失してしまう可能性がある。そうなると、彼らにとってスマホは他者とのつながりを維持するツールではなく、孤立を深めるツールになってしまう」と話している。
二つ目の集団は、教育歴が長く高収入である一方、スマホ依存傾向があり、社会参加が少なく、交流機能を利用しない高齢者だった。この結果は、経済的・教育的な資源があっても、スマホ利用が現実世界での交流に取って代わるような場合には、孤独やうつ症状のリスクを十分に防げない可能性を示唆している。この点についてHuang氏は、「受動的なデジタル利用は時間の経過とともに、メンタルヘルスの維持に有用な現実世界での交流に取って代わり始め、孤立を深めてうつ症状を悪化させ得る」と解説している。
Huang氏はこれらの考察の上で、「高齢者の家族や友人は、高齢者本人がスマホを孤独な娯楽のために使うのではなく、人との交流を活発にするような使い方を促すべきだ。高齢者が1人で動画を見ていたら、それを放置するのではなく、写真の共有やメッセージのやり取りを勧めてみたり、ビデオ通話に誘ってみたりすることで、世代間のギャップを埋めることもできる」との助言を付け加えている。
[HealthDay News 2026年7月13日]
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