「独り好き」と心の健康との関係を分析(東京都健康長寿医療センター)
東京都健康長寿医療センター研究所の桜井良太専門副部長らの研究グループは、高齢者391人を2年間追跡した縦断研究から、独りでいることを好む「独り好き傾向」と心の健康との関連を調べた。
独り好き傾向の高さは、ウェルビーイング低下に直接関連し、さらに人とのつながりの減少を通じて間接的にも関連する可能性があることなどが示された。
人とのつながりの減少を通じて抑うつの悪化と関連する可能性も
社会的孤立は、抑うつ症状の増加やウェルビーイングの低下と関連することが知られている。一方、もともと独りで過ごすことを好む人は、社会的に孤立しても精神的な悪影響を受けにくい可能性も考えられる。
そこで研究グループは2023年に20~79歳の9000人を対象とした調査を実施。その結果、独り好き傾向が強い人でも、社会的孤立による心の健康への悪影響が軽減されるわけではなく、むしろ心理的苦痛が強く、ウェルビーイングが低く、孤独感が強い傾向が示された。
しかし、この研究は一時点の状態を調べた横断研究であり、独り好き傾向と心の健康との時間的な関係は明らかにできなかった。そのため、研究グループは今回、地域在住高齢者391人を対象に2021年と2023年の2時点で行った調査結果から、両者の関係を縦断的に検討した。
分析の結果、独り好き傾向の高さは、将来の抑うつ傾向の悪化そのものに直接、結びついてはいなかった。しかし、独り好き傾向が高い人ほど、将来的に他者とのつながりが減少することには関連が見られた。 他者とのつながりが狭まることは、将来の抑うつ傾向の悪化に関連しており、結果的に独り好き傾向の高さが抑うつ傾向の悪化につながっていく可能性が示されたと言える。
また研究グループは「一人を好むことで人とのつながりが減る」と「人とのつながりが減ることで、さらに一人を好むようになる」という負の循環が生じる可能性を示唆。独り好き傾向が高いほど、将来的に人付き合いの煩わしさが高くなる傾向も見られたという。
一方、ウェルビーイングについては、調査委開始時に独り好き傾向が高い人は、その後のウェルビーイング低下と直接関連していることが示された。
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出典:「どのように「独り好き」は心の健康と関係するのか?―縦断研究で背景にある経路を検討―(東京都健康長寿医療センター)
これらの分析を踏まえ、研究グループでは、
・独り好き傾向が高いからといって、それだけですぐに抑うつ傾向が高まるわけではないが、ウェルビーイング(心の元気さ・充実感)の低下と関連する可能性がある
・独り好き傾向が高い状態が続くと、人とのつながりが減り、つながりが減るとさらに独り好き傾向が高まるという、負の循環が生じる
・独り好き傾向が高い状態は、人とのつながりを減らし、間接的にうつ傾向を高める可能性がある
・「人付き合いの煩わしさ」が独り好き傾向を高めるというより、独り好き傾向が高まった結果として、煩わしさが後から強く意識される傾向がある
などとまとめた。
そのうえで「『一人が好き』という個人の志向や快適さは、余暇時間を過ごすうえで重要な要因であり、尊重されるべきもの」としつつも、「一人が好きな人であっても、心の健康を保つためには、無理のない形で社会や他者とつながり続けられる"緩やかなつながり"を維持できる環境づくりや支援が重要であると考えられる」としている。
どのように「独り好き」は心の健康と関係するのか?―縦断研究で背景にある経路を検討―(東京都健康長寿医療センター/2026年6月24日)本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。


