オピニオン

Vol.1 「いない」のではなく「見つかっていない」だけ?
アルコール対策を後回しにできない理由
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特別対談
倉持 穣、伊東明雅

 提供  大塚製薬株式会社

企業におけるアルコール対策は今

伊東企業によってアルコール問題に対する取り組みの優先度はかなり違う印象です。熱心な企業がある一方、実態調査[1]では「社内にアルコールで問題のある人はいない」と答える企業も半数以上ありました。企業規模が大きければ、ゼロということは考えにくく、「いない」という回答は、早期に見つけられていない可能性が高いと思います。

倉持私のクリニックには、自分の飲酒行動に問題があると自覚して受診する人が相当数います。飲み始めると止まらない、泥酔して路上で寝てしまう、といったことを自分で問題視しているのです。こうした人の多くは勤務中に問題を起こさないので、企業側で把握できないケースが多いかもしれません。リモートワーク中の飲酒例もあり、問題を抱える人は一定数いる印象です。

伊東健康経営の外部認証を目指す企業も増えていますが、要件を見ると喫煙対策は「必須」なのに対し、アルコール対策はアンケートなど自己申告が中心で、制度側からの要請もまだ弱い。タバコに比べてアルコール問題への取り組みは優先度が低いと感じます。

倉持勤務時間外のプライベートな場でお酒を飲むのは本人の自由ではないか、という指摘もあります。でもお酒は思っている以上に、身体に残ります。飲みすぎた日の翌日は眠気が取れず、頭がぼーっとするなど、目に見えない影響が勤務中に出ているのなら企業にとっては損失です。

問題のある飲酒を、職域でどのように発見するのか

伊東私が共著で執筆した『どうする!? 職場のアルコール問題対策』[2]の帯には、「アルコール問題は、単なる個人の問題ではなく、組織全体のリスク管理の問題でもある」と書いています。飲酒の問題は生活習慣や健康だけにとどまらず、仕事にもさまざまな影響を及ぼします。
だからこそ社内の関係者が連携して取り組むべき課題なのですが、部門間につながりがないと情報を吸い上げられません。健康の話は産業保健部門、安全の話は安全推進部門、労務の話は人事労務部門、と分断されている例も多いです。

倉持会社によっては「営業はよく働き、よく飲むものだ」と、飲酒を推奨するような雰囲気もあります。

伊東日本は社会全体として飲酒に寛容だと思います。飲み会で「2時間飲み放題」のような機会も多いですが、あれはビンジドリンキング(短時間での過剰飲酒)を誘発しやすく、海外の人からはよく驚かれます。泥酔して路上で寝てしまったことを武勇伝のように語る人もいるのでは。

倉持飲み会の場でパワハラやセクハラをしてしまう例もあります。そのような態度からアルコールの問題に気づければいいのですが、見過ごされているケースが多いと思います。

伊東飲酒が原因でコンプライアンス違反や法を犯すようなケースは、誰の目にも「一発アウト」でわかりやすい。一方、その手前の段階で問題が表面化していないときは、勤怠や勤務態度の変化、心身の不調など、複数の情報を集めないと周囲は気づきにくいものです。従業員の健康管理は産業保健職、労務管理は人事、業務管理は上司と、それぞれがアンテナを張り、気になることがあれば「背景にお酒の問題があるのでは」と疑う“感度”を高めてほしいと思います。そのためには担当者への啓発や教育も必要です。

倉持「健康日本21(第三次)」では「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」として、1日当たりの純アルコール摂取量を男性で40g以上、女性で20g以上と定義しています。2026年3月時点で最新の「令和6年 国民健康・栄養調査」の結果をみると、このような危険な飲酒をしている人の割合は11.4%とされています。
アルコール問題はピラミッドに例えられることが多いですが、私はこの人たちがお酒をやめられず、だんだんズルズル、重い症状へ落ちていくイメージから「アリ地獄」として表現しています。

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アルコール問題の「アリ地獄」モデル(提供:倉持 穣先生)[3]

アルコール使用障害の本質は、突き詰めれば「過度の飲酒にブレーキをかけられないこと」です。ただ、その“ブレーキの壊れ具合”を示す生物学的なマーカーがあるわけではありません。そのため現実には、欠勤や遅刻、勤務態度の変化といった行動面のサインから推測するしかありません。さらに、重い肝障害や糖尿病などの健康問題が出ている、転倒や事故を繰り返しているといった「実際に起きている問題」も、重症度を見立てるうえで重要な手がかりになります。

一方、アルコール使用障害の予防は、0次(環境づくり)から3次(再発防止・復職支援)までの段階にわけて考えられます。このうち進行を予防する2次予防においては早期発見、減酒指導などの短期介入があり、職域での対応が難しくなればアルコール問題の専門医へつなぐことになります。

伊東日本ではアルコール依存症というと「最重症例」のイメージが強く、本人も周囲もそのように思い込みやすい点が課題です。「否認の病」といわれ、専門医へ行きたがらない人が多い中で、職場風土を熟知している産業保健職は教育や声かけの担い手として大きな役割を果たすでしょう。

*アルコール問題の専門医:精神科や心療内科、肝臓内科などで、アルコール依存症や健康障害の診断・治療・再発防止を行う医療機関。「減酒.jp(運営:大塚製薬)」では、「アルコール依存症について相談できる病院検索」を提供しており、この他の期間でも医療機関を探すことが可能。


参考文献
[1]筑波大学:アルコール健康障害に係る地域医療連携等の効果検証および関係者連携会議の実態調査に関する研究研究報告書. P.75, 2024. https://rdcli.md.tsukuba.ac.jp/resource/(2026年4月現在)
[2]宋 龍平 編:どうする!? 職場のアルコール問題対策予防・対応・リワーク支援, 金子書房. 2025.
[3]木村充ほか:令和6年度 依存症に関する調査研究事業「飲酒と生活習慣に関する調査」報告書. 久里浜医療センター, 2026. https://www.ncasa-japan.jp/docs/research-report(2026年4月現在)

企画・制作:保健指導リソースガイド 
提供:大塚製薬株式会社 
SL2604007(2026年4月改訂)


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