業界キーパーソン直撃インタビュー保健指導のみちしるべ
「データヘルス計画」について ~どう計画し、運用するか~

第2回 「データヘルス計画」について ~どう計画し、運用するか~

保健師への期待 事業主を巻き込む役割と業務マネジメント

木村: 本サイトは約5,000人の保健師が閲覧しております。保健師に対してメッセージは何かありますか。

鳥井: 個別の保健指導は従来通り大事だと思います。健保組合、事業所、健診機関等それぞれの所属の中で期待されている役割は異なるところではありますが、今回のデータを活用した保健指導を行うことで存在意義を明確にしていくことは価値があると考えます。

 データヘルスに関しても、特に目新しいことをやっているわけではないので、これまでの保健指導にデータ分析を十分に活用した新しい保健指導に取り組んでいただきたいです。加えて、事業主を巻き込む役割として力を発揮してほしいと思います。

 また、今後は情報を発信できる立場にもなるので、全部自分で保健指導を行うのではなく、ITやサービス、一業者を活用すること(業務のマネジメント)を考えながら保健指導を推進していただきたいところです。

木村: 本事業の今後の予算配分計画を教えてください。

鳥井: 平成26年度上期に、本事業の総予算43億円(H25,12予算確定)の中から予算配分を行い、手上げ方式でモデル計画を作成します。(3ページ目の上段の図参照)平成26年度下期は、全ての健保で計画作成ができるよう、健保向け講習会等も検討中です。

木村: データヘルス計画を通じて求める効果は何かありますか?

鳥井: まずは、集団の疾病予防や重症化予防、健康増進などを目的に、PDCAをきちんと活用して計画を立て実施していただきたいです。また、実施したことに対しての評価もきちんとしていただきたいです。そのなかでも、費用対効果は早めに示せるといいですね。

木村: 本日は貴重なお話をお教え頂き有難うございました。

【参考資料】
データヘルス計画の推進について(厚生労働省保険局保険課)[PDF:1.5MB、22頁]

【まとめ】
 おそらく9月に公表された「データヘルス事例集」については、皆様ご覧になっているかと思います。このサイトをご覧になっている方は日々情報収集もされていることと拝察し、既にご存知の取組みも中にはあったのではないでしょうか。

 コラボヘルスによる健康リスクの階層化事例や、レセプト活用、要医療判定未受診者の可視化、重症化予防、事業主・健保・労組の三位一体コラボヘルス、健診前キャンペーン等々、効果的な指標が多く掲載されております。医療保険者としての今までの取組みの資産が、それぞれの保健事業の取組みの一部として紹介されておりました。

 今までは世間にそれぞれの健保組合の取組みが公表されていなかった事を考えると、画期的で有意義な事例集であったと感じております。インタビュー前にご協力頂いた、いくつかの健保組合の担当の方は、事例集の説明をする言葉に熱い想いがこもっていたことが印象的です。

 間違ってはいけないのは、それぞれの背景は違うので、隣の健保さんの「模倣」をして自健保の新しい取組みにしようとすると、恐らく上手くいきません。大切なのは「なぜ」その事業を採用し、どのくらいのスケジュールや費用感で、どのような効果を示してきたのか。そこを考えることなのだと今回のインタビューを行い再認識いたしました。

 今回のデータヘルス計画作成の主旨は、PDCAをまわし、事業評価及び効果分析を行うこと。そして効果的効率的な保健事業に繋げていく事です。そしてその事業をどのように発展させていき、加入者の健康を担っていくのか。ここを押さえたうえで計画をたて、データを活用した保健事業に取組まれる事。そして評価することを念頭に計画立案することが、今回の「PDCAをまわすこと」という意味なのではないかと、インタビューを伺い理解できました。

 医療費抑制のための重症化予防を行うためのデータリソースは沢山あります。そして、計画作成にあたっては、1ページ目に掲載されている「被用者保険における理想的な保健事業のイメージ」を見ると、外部として協力できるプレーヤーも少なくありません。(・外部の専門業者の活用可能・企画立案の受託事業者・保健指導実施の受託事業者)分析事業者、システム事業者、保健指導代行業者、今まで健康保険組合の保健事業に助力してきた健診実施機関、様々な事業者が介入できるのではないでしょうか。

 健康保険組合の担当者におかれましては、過去から現在までの資産の棚卸しを行い、それぞれの課題に則した保健事業の立案を行う事は、今からでもできます。既に取組んでいる健保様も多いように感じています。今まで取組んでこられた保健事業の実績と、蓄積された健診データ及びレセプトデータを突合することで、保健事業自体のROI(投資対効果)が明確になり、次のステップに進む為に有意な指標となるでしょう。

 「データヘルス事例集」の事前ヒアリングを行って感じた事は、保健事業を立案されて実行されてきた方は、今後新しい取組みをする際に有効となる、多くのヒントを持っている事です。当たり前かもしれませんが、組合内の上司や先輩又はOB等に、今まで取組んでこられた事業をシンプルですが下記3つの視点でヒアリングしていく事が、「棚卸し」の近道になるのではないかと感じました。

 ・「なぜ」立案し実施していたのか
 ・「どのように」推進してきたのか
 ・どのような「効果、課題」が生まれたか

 それぞれの置かれた環境で取組む範囲も変わるかとは思いますが、身の丈にあったデータ分析及び保健事業を展開され、その取組みが日本の健康づくり事業のエビデンスになっていく事を期待しつつ、今回のインタビューを終わります。

 最後に、臨時国会が招集されて間もない10月23日(水)にインタビューをさせて頂きました。多忙な時期にも関わらず、貴重なお時間を割いて頂いた鳥井課長、高橋様、吉村様にはこの場を借りてあらためて御礼申し上げます。

 次回は健康経営についてインタビューを行います。

インタビュアー:木村大地((株)リンケージ)
【株式会社リンケージ】
 健康診断に関する現状の課題を解決するためのサービス提供や、事業全般の企画、職員向けセミナー等。健診事業専門集団として、お客様が必要とするサービスのコーディネーター役を担っております。
 ヘルスケアリテラシーの向上に寄与することで、健康診断という「手段」の活性化につなげ、不健康寿命の縮小を目指しております。
 最近は、セミナー依頼が増える中、ASEAN進出の海外駐在員向けの健康管理事業も手がけ、時代のニーズ応じた健康管理文化の創出をしております。
 ◆ホームページ http://linkage-inc.co.jp/

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