【熱中症予防】エアコンを適切に使えず死亡した高齢者の特徴を明らかに どうすれば防げる? 今年は昨年以上の猛暑に

エアコンを適切に使えず熱中症で死亡した症例を調査
熱中症は高温多湿の環境下で発生する全身性障害。熱中症はエアコン(冷房)を使用すれば予防できるが、エアコンを適切に使いこなせず、熱中症を引き起こして死亡する人が少なくない。
東京都23区で2013~2023年に熱中症で死亡した1,447症例を調査した結果、屋内死亡例の44.9%はエアコンをオフにしており、29.4%はエアコンが設置されておらず、10.0%ではエアコンが故障していたことなどが明らかになった。
エアコンがオンであった症例では、79.8%は一人暮らしまたは高齢夫婦世帯で、室温が高く、機器の設定の問題などが報告されており、エアコンを適切に使いこなせていなかったために死に至ったと考えられる。死亡例1,447件のうち、屋内が1,319件、屋外が118件、98%が6~8月に集中していた。
エアコンの使用が適切でなかった例として、▼リモコンの電池が切れていて使えなかった、▼温度設定は28度になっていたが、暖房設定になっていた、▼エアコンはついていたが、機能しておらず、温風が出ていた、▼送風モードや掃除モードのままだった、▼送風口にホコリが詰まっており、風が出ていなかった例などを挙げている。
エアコンの使用が適切でなかった事例の80%は、一人暮らしや高齢者世帯で、生活支援や年金の受給者、預貯金生活者が大半だった。
なお、今回の研究は現場検証を行った警察の情報にもとづいており、エアコンの不適切使用の事例は、実際にはもっと多い可能性があるとしている。
- 暑くなる前にリモコンの電池の交換、通風口・フィルターなどの掃除をする。
- 知り合いや親族で別居の一人暮らしの高齢者がいる場合、エアコンが機能しているかどうか、リモコンが使えるかを確認する。
- エアコンの設定について、とくに冷房や除湿モードに適切に設定できているか、使い方の説明を行い、必要に応じてメモなどでも伝える。
- 近隣でエアコンの室外機が動いていない、故障しているような音を立てている状況を発見した場合、一人暮らしや高齢者であれば、エアコンがきちんと使える状態なのか声掛けをする。
研究は、橋本英樹・東京大学大学院医学系研究科教授、林紀乃(東京都監察医務院院長)、浦邉朱鞠(東京都監察医務院常勤監察医)らによるもの。
「2025年の夏は、昨年以上の猛暑が予想されています。コミュニティや近隣での支えあいや目配りを行うことで、熱中症で亡くなる方を減らすことにつながるよう願っています」と、研究グループでは述べている。
東京大学大学院医学系研究科 保健社会行動学分野
熱中症予防のための情報・資料サイト (厚生労働省)


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