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お酒を飲むと赤くなる人は大腿骨の骨折に注意 リスクが2.5倍に
2017.05.17
 慶應義塾大学の研究グループは、お酒を飲むと赤くなりやすい遺伝子をもつ人は、ふだんの飲酒量に関係なく、骨粗鬆症による「大腿骨近位部骨折」を起こしやすくなることを明らかにした。
 ビタミンEを摂取すると、予防の効果を得られる可能性があるという。
「大腿骨近位部骨折」が寝たきりや要介護の原因に
 遺伝的にお酒を飲むと赤くなりやすい体質の人は、骨粗鬆症による「大腿骨近位部骨折」を起こしやすいことを、慶應義塾大学の研究グループが明らかにした。

 大腿骨は、体を支えている体の中でもっとも大きい骨で、その骨が脚の付け根付近で折れてしまうのが「大腿骨近位部骨折」だ。

 大腿骨は股関節の近くにある大腿骨頸部で曲がっている。その曲がった部分は転倒や転落の時に外力が集中しやすく、骨折しやすい。

 この骨折は、骨粗鬆症で骨がもろくなった高齢者に多発することが知られる。多くが骨折をきっかけに寝たきりや要介護になってしまい、社会問題となっている。

 骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折の患者数は増え続けており、2014年には年間に19万件が発生し、今後さらに増加することが予想されている。

 骨折発生後1年で亡くなる人も多く、死亡率も増加させることから、その予防が重要となっている。

 特に女性は、閉経後に女性ホルモンの分泌量が下がると、カルシウム量が減り、骨密度が急激に低下し骨折リスクが高まるので、注意が必要だ。
お酒に弱い遺伝子をもつ人で骨折リスクが2.48倍に
 お酒を飲むと体内では、「ALDH2」という酵素が働き、アルコール代謝の過程で発生する「アセトアルデヒド」を分解している。

 お酒を飲んだ際に赤くなりやすい人は、このALDH2が、遺伝子的に活性が弱いか欠けている。この遺伝は、日本人など東アジアの人種に多いとされている。

 ALDH2の機能が失われると、アセトアルデヒドが蓄積し、骨を生成する骨芽細胞の機能不全が生じる。

 研究グループは、大腿骨近位部骨折を起こした92人の患者と、骨折を起こしておらず骨粗鬆症の診断基準も満たさない48人に協力してもらい、それぞれのゲノムDNAを回収した。

 アルコール代謝の過程でアセトアルデヒド分解に関わるALDH2遺伝子多型のうち、お酒をのむと赤くなる体質の原因となる遺伝子多型である「rs671」に着目し、その保有率を比較した。

 その結果、骨折を起こした人では正常な人に比べ、「rs671」の保有率が高く、それにより骨折のリスクが2.48倍高くなることが明らかになった。
ビタミンEを摂取すると骨折予防に効果的
 今回の調査では、お酒を飲むと赤くなる人が、遺伝的にALDH2遺伝子多型をもつかを調べる検査において、感度と特異度はそれぞれ80.0%と92.3%と高かった。

 このことは、お酒を飲むと赤くなることと、ALDH2遺伝子多型をもっていることとが一致することを示している。つまり、お酒を飲むと赤くなる人は骨折しやすい体質である可能性が高いことを示唆している。

 「お酒で赤くなりやすいことが、遺伝子検査をしなくても、骨折のリスク遺伝子を保有していることを知るための手がかりになる」と、研究グループは述べている。

 さらに研究グループは、機能不全をおこした骨芽細胞にビタミンEを添加することで、機能不全を回避できることを試験管培養で明らかにした。

 「もって生まれた遺伝子多型は変えようがありませんが、ビタミンEの摂取で遺伝子多型の影響が減少し、骨折予防につながる効果が期待できます」としている。

 研究グループは、「お酒を飲むと赤くなることが、本人あるいは家族など周りの人が骨折のリスクに気づくための分かりやすい指標となる」としながら、「家庭で高齢者の骨折を予防するために、骨折を未然に防ぐ取り組みを講じるきっかけにしてほしい」と、期待感を示した。

 研究は、慶應義塾大学医学部整形外科学教室の宮本健史(先進運動器疾患治療学寄附講座特任准教授)らによりもので、科学誌「Scientific Reports」に発表された。

慶應義塾大学医学部整形外科学教室
A missense single nucleotide polymorphism in the ALDH2 gene, rs671, is associated with hip fracture(Scientific Reports 2017年3月27日)
(Terahata)
©2017 日本医療・健康情報研究所. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

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