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睡眠と高血圧の深い関係 質の良い睡眠は大切 睡眠にも季節変動が 冬には血圧が高くなりやすい
2023年10月10日
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質の良い睡眠をとることは、健康を維持するために重要であることが明らかになった。十分な睡眠をとるのに苦心している女性は、高血圧を発症するリスクが高いことが、25~42歳の6万人超の女性を対象とした調査で示された。
冬は夏に比べて、とくに血圧が上昇しやすいことも報告されている。とくに冬には、睡眠時間を十分に確保する必要がある。
不眠の症状と高血圧に相関した関係が
質の良い睡眠をとることは、健康を維持するために重要であることが明らかになった。十分な睡眠をとるのに苦心している女性は、高血圧を発症するリスクが高いことが、25~42歳の6万人超の女性を対象とした調査で示された。 研究は、米国のハーバード大学とブリガム アンド ウィメンズ病院によるもの。「女性の不眠の症状と高血圧には相関した関係があります。生活のペースがますます速くなっている現代社会で、十分な睡眠をとるよう心がけることはこれまで以上に重要です」と、同大学睡眠医療部のシャハブ ハギャエグ氏は言う。 「高血圧は、他の多くの身体疾患や精神疾患とも関連しています。高血圧の人を早く発見し、治療すれば、将来に起こりえる健康上の問題を軽減できます」としている。睡眠障害のある女性は肥満が多く食事も不健康
研究グループは今回、米国で実施されている大規模なコホート研究である「看護師健康研究II」に参加した、25~42歳の女性看護師など6万6,122人を対象に、16年間にわたり追跡して調査した。参加者の全員が、研究開始時には高血圧ではなかった。 その結果、2万5,987人が高血圧を発症し、そのうち毎日の睡眠時間が7~8時間未満の女性は、高血圧を発症するリスクが著しく高いことが分かった。入眠や睡眠を維持するのが困難な女性も、高血圧を発症する可能性が高かった。 睡眠障害のある女性は、体格指数(BMI)が高く、身体活動量が少なく、食生活も不健康である傾向も示された。さらには、十分な睡眠をとるのに苦心している女性は、喫煙や飲酒をする頻度が多く、すでに更年期を迎えた女性に不眠が多いことも分かった。 睡眠と高血圧のリスクとの関連について、正確なメカニズムはよく分かっていないが、「睡眠障害は、体のナトリウム貯留、動脈硬化、心拍出量を増加させる一連の出来事を引き起こし、潜在的に高血圧につながる可能性があります」と、ハギャエグ氏は指摘している。 さらに、「睡眠と覚醒のサイクルの乱れは、血管の収縮や弛緩の活動や、血管の緊張を調節する細胞の機能にも悪い影響をもたらす可能性があります」としている。質の良い睡眠をとることが健康のために必要
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、米国の成人の35%以上が夜に十分な睡眠をとれていない。米国睡眠医学アカデミーは、米国の成人30%が不眠症の症状を経験していると指摘している。 一方で、米国の成人の45%が高血圧を抱えて暮らしている。睡眠と高血圧の関連を示した今回の研究は、質の良い睡眠をとることが、健康を維持するために重要な役割をはたしていることをあらためて強調するものとしている。 「今回の調査は女性を対象としたものですが、男性でも睡眠が健康にもたらす影響は大きいと考えられます。今後の研究では、睡眠を改善することが高血圧の予防や治療に役立つかを確かめる必要があります」と、ハギャエグ氏は述べている。冬には血圧は高くなりやすい 睡眠にも季節変動が
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Sleeping Difficulties, Sleep Duration, and Risk of Hypertension in Women (Hypertension 2023年9月18日)
Cold weather may pose challenges to treating high blood pressure (米国心臓学会 2023年9月7日)
Seasonality of human sleep: Polysomnographic data of a neuropsychiatric sleep clinic (Frontiers in Neuroscience 2023年2月17日)
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