ニュース

更年期障害をこうして改善 座ったままの時間を減らして運動を 更年期とうまく付き合う方法

 閉経後の女性は、ウォーキングなどの運動を習慣として行うと、体の代謝機能が改善し、体重増加を防げるという研究が発表された。

 1日に座ったまま過ごす時間の長い生活スタイルは、更年期障害をさらに深刻なものにするおそれがあるという報告も発表されている。

 更年期をテーマとした小冊子「女性がいきいき生きるコツ~『更年期障害』の正しい知識と適切な対処を」が公開されている。

運動を積極的に行うと体の代謝機能が改善

 閉経後の女性は、ウォーキングなどの運動を習慣として行うと、血糖値を下げるインスリンの働きが良くなり、代謝機能も改善し、体重増加を防げるという研究を、米ミズーリ保健大学が発表した。

 運動を続けることで、女性は積極的なアプローチをとれるようになるという。運動は日常生活でできる範囲内のもので、効果を期待できる。

 「運動や身体活動はどんなものでも、たとえ少ない量であっても、代謝機能を維持する大きな効果を期待できます」と、同大学栄養・運動生理のヴィッキー ヴィエイラ ポッター氏は言う。

▼友達と定期的に散歩に行く、▼なるべくエレベーターではなく階段を利用するようにする、▼近所で開催されている初心者向けのフィットネス教室に参加する、▼歩数計や活動量計を持ち歩き、運動や身体活動の記録をとる――といった工夫をすることを勧めている。

座位時間の長い女性は更年期障害が深刻に

 北米閉経学会(NAMS)の発表した別の研究によると、1日に座ったまま過ごす時間の長い生活スタイルは、更年期障害をさらに深刻なものにするおそれがある。

 閉経を迎えた女性を対象とした調査では、座位時間の長い生活スタイルは、うつ病・不安・不眠症・肥満などにつながりやすいことが示された。

 研究グループは、11ヵ国の20都市の保健センターに通っていた40歳~59歳の女性6,079人を対象に調査した。

 参加者に、ほてり・のぼせ・発汗・抑うつ気分や不安・膣の乾燥・泌尿器の症状など、更年期障害の症状について尋ね、更年期障害評価尺度(MRS)質問表に答えてもらった。

 その結果、64%の女性で座りっぱなしの生活スタイルが定着していることが分かった。そうした女性は、体を活発に動かしている女性に比べ、更年期症状が重度である傾向が示された。運動不足の女性は、肥満・うつ病・不安・不眠症などのスコアも高かった。

運動をしている女性は症状が軽く幸福感が高い

 「運動をする習慣のある女性は、肥満が少なく、ほてりなどの症状も軽く、幸福感も高く、健康リスクが軽減されていることが分かりました。こうしたベネフィットを望まない女性はいません」と、バージニア州立大学産婦人科のジョアン ピンカートン氏は言う。

 「運動習慣をもてば、乳がん・大腸がん・認知症・心臓病・脳卒中・うつ病のリスクを軽減できます。毎日1時間歩くだけでも、リスクを軽減されることが示されました」。

 「ウォーキング・ジョギング・水泳など、ご自分のできる運動を、1日に30分以上、週に3回以上行うことをお勧めします」している。

更年期障害の正しい知識と適切な対処法

 日本医師会は、女性の更年期をテーマとした小冊子「女性がいきいき生きるコツ~『更年期障害』の正しい知識と適切な対処を」を公開している。

 日本でも女性の社会進出がめざましく、社会活動を維持していくうえでも、女性の健康を守ることは大きな課題となっている。

 一方、更年期障害は女性を悩ませている病気のひとつで、その症状が出ているにもかかわらず、家事や仕事など日常生活の忙しさから、医療機関を受診することを後回しにしている女性も少なくない。

 また、更年期を迎える前から「どういった症状が出るのだろう」と、不安に感じている女性も多い。

 そこで日本医師会では、そうした女性に向けて、更年期や更年期障害についての基本知識や、その対策を簡潔にまとめた小冊子を公開している。

 公式YouTubeチャンネルでは、若年期から中年期にかけて起こる、月経トラブル・摂食障害・女性のがん・更年期障害など、女性特有の健康課題を取り上げたオンラインセミナーの動画も公開している。

日本医師会オンラインセミナー
女性の健康課題を考える

日本医師会 医師会の取り組み

Minimal Exercise Can Prevent Disease, Weight Gain in Menopausal Women (ミズーリ保健大学 2016年10月17日)
Voluntary Running Attenuates Metabolic Dysfunction in Ovariectomized Low-Fit Rats (Medicine & Science in Sports & Exercise 2017年2月)
Sedentary lifestyle spells more menopause misery (北米閉経学会 2016年1月27日)
Sedentary lifestyle in middle-aged women is associated with severe menopausal symptoms and obesity (Menopause 2016年5月)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶