小中高生の自殺は過去最多527人 対策の強化が急務に-「令和6年の累計自殺者数(暫定値)」より

厚生労働省がこのほど、警察庁の自殺統計に基に自殺者数の推移をとりまとめ、公表した。令和6年の累計自殺者数(暫定値)は2万268人で、前年より1569人減少した。
しかし、小中高生の自殺者数は527人と過去最多を更新しており、対策の強化が求められる。
国内における自殺者数は、平成10(1998)年に急増して年間3万人を突破。以降14年間連続で3万人を超える状況が続いたが、平成24(2012)年には3万人を下回った。その後も減少し、令和元(2019)年には2万169人と、統計開始以来最少を記録。しかし翌年、令和2(2020)年には再び増加に転じた。
その後は2万1千人台で推移していたが、令和6年は暫定値で2万268人となり、前年比1569人減。男女別では男性が1万3763人、女性が6505人でいずれも対前年比で減少。女性は令和2年から4年まで上昇を続けていたが、令和5年から2年連続で減少している。
都道府県別では東京都が最多の2190人だったが、前年比では224人減。一方、対前年比で自殺者数の増減率が上昇したのは山口県が最多で前年比21.7%増、逆に最も低下したのは和歌山県で前年比29%減だった。
一方、小中高生の自殺者数は令和4(2022)年に514人と初めて500人を突破。令和5(2023)年も同水準の513人と高止まりの状況が続いていたが、令和6年は暫定値で527人となり過去最多となった。内訳は小学生が15人、中学生が163人、高校生が349人。
男女別では、男性は前年比20人減の239人、女性は前年比34人増の288人で、女性の増加が目立った。女性は高校生が前年比17人増、中学生が19人増だった一方、小学生は2人減少だった。
全体の自殺者数は過去と比較して低い水準だったものの、小中高生の自殺者数が増加傾向にあることを重く受け止め、政府は「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」などを通じて、より一層、啓発を強化しつつ総合的な取り組みを進めていく考えを示した。
同会議は令和5年に『こどもの自殺対策緊急強化プラン』を策定。相談体制の充実や自殺リスクの早期発見などに重点を置いている。しかし令和6年が過去最多の自殺者数となったことから、より一層の取り組みが求められている。
警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等」(厚生労働省/2025年1月29日) こども家庭庁こどもの自殺対策緊急強化プラン(こども家庭庁)

「地域保健」に関するニュース
- 2025年03月10日
- 余暇時間に運動をするとがんリスクが32%減少 余暇時間の活発な運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を
- 2025年03月10日
- 「超加工食品」は肥満・メタボ・心臓病のリスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- 2025年03月10日
- 日常生活での活動性が高い高齢者は認知症リスクが低い 生活範囲別に評価する質問票を開発 国立長寿医療研究センター
- 2025年03月10日
- ビタミンDのサプリが風邪や肺炎などの感染症を減少 ビタミンDは冬には半分に低下 日本人を含む5万人を調査
- 2025年03月03日
- ウォーキングなどの運動で肥満や高血圧など19種類の慢性疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防
- 2025年03月03日
- 「玄米」で糖尿病を予防 食事では血糖値を上げにくい「低GI食品」を活用 新しい低GI米を開発
- 2025年03月03日
- 緑茶・コーヒーを飲むと認知機能の低下を予防できる? 日本人を長期追跡して調査
- 2025年03月03日
- 【高齢者の転倒を防止】高齢者のフラツキや不安定な歩行の原因を解明 筋肉の減少・低下やビタミンB不足など
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻