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緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が

 緑茶の摂取と運動を組み合わせることで、高カロリーの高脂肪食を食べても、肥満に関連する脂肪肝のリスクが軽減されるという研究が発表された。

 日本の研究でも、緑茶のカテキンを摂取すると、褐色脂肪の活性が高まり、脂肪の燃焼が高まることが示されている。

 緑茶のカテキンは、新型コロナなどの感染症の予防にも役立つ可能性がある。茶カテキンに、新型コロナウイルスの複製に必須な酵素を阻害する効果があることが確かめられた。

緑茶の摂取と運動を組み合わせると脂肪肝が改善

 緑茶の摂取と運動を組み合わせることで、高カロリーの高脂肪食を食べても、肥満に関連する脂肪肝のリスクが大きく軽減されると言う研究を、米国のペンシルベニア州立大学が発表している。

 「非アルコール性の脂肪性肝疾患は、世界的な健康課題になっています。肥満や2型糖尿病などの危険因子が増え、2030年までに脂肪性の肝疾患を1億人以上が発症するだろうという予測も出ています。効果的な対策が必要とされています」と、同大学食品科学部のジョシュア ランバート氏は言う。

 「緑茶に含まれるポリフェノールであるカテキンは、小腸で分泌される消化酵素と相互作用し、食物にふくまれる糖質、脂肪、タンパク質の分解を部分的に阻害すると考えられます。食物中の脂肪が消化されないと、その脂肪とカロリーは消化器を通過し、排泄物として排出されます」と、ランバート氏は説明する。

 「緑茶のカテキンと運動が合わさると、脂肪肝の沈着を軽減する効果が高まる可能性があります。緑茶の成分と運動がいっしょに働いて、肝臓に蓄積された脂肪を減らす相乗効果があるか、それとも加算的な効果なのかを知るために、さらに研究が必要です」としている。

 研究グループは、高脂肪食と緑茶エキスを16週間摂取させ、定期的にホイールで走る運動をさせたマウスの肝臓の脂質沈着量は、緑茶エキスを与えず運動もさせなかった対照群のマウスのわずか4分の1であることを明らかにした。緑茶と運動のどちらかを与えたマウスと比べても半分程度だった。

緑茶カテキンが脂肪燃焼を亢進 褐色脂肪の活性を高める

 北海道大学の斉藤昌之名誉教授や花王などによる別の研究では、褐色脂肪の活性が低下して太りやすい傾向にある人が、緑茶カテキンを5週間継続摂取すると、褐色脂肪の活性が高まるとともに、脂肪の燃焼が高まることが示されている。

 褐色脂肪には、脂肪をためる機能をもつ白色脂肪から運ばれる脂肪を燃焼して消費する機能があるとみられている。

 さらに褐色脂肪の活性が低い人は、エネルギー消費量が低くなるとともに、脂肪をよく燃やすことができない傾向になることから、太りやすい体質の因子をもつ可能性が指摘されている。

 研究グループは、褐色脂肪の活性の低い人を対象に、茶カテキンを含有する飲料を摂取する群(茶カテキン群)と、含有しない飲料を摂取する群(対照群)に分けて、5週間飲用を継続した前後において、褐色脂肪細胞に関わるエネルギー代謝を、PET(ポジトロン断層法)による撮像により調べた。

 一般にエネルギー消費量の低い人は、脂肪をためる傾向が比較的強いとみられる。研究では、褐色脂肪の活性が低く、低エネルギー消費となっている成人は、茶カテキンの継続摂取により、褐色脂肪の活性が高まり、脂肪の燃焼量が有意に増強することが確かめられた。

緑茶カテキンが新型コロナなどの感染症の予防にも役立つ可能性が
お茶は感染症の予防効果が期待されている候補
 緑茶に含まれる茶カテキンに、新型コロナウイルスの複製に必須な酵素を阻害する効果があるのを確かめたと、兵庫県立大学や徳島大学などが発表した。研究成果は、「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に掲載された。

 研究グループは、解析した8種のカテキン類のうち5種が、用量依存的にウイルス酵素を阻害し、また茶カテキンの成分であるEGCGが、細胞内でウイルス酵素に結合し、ウイルス酵素阻害を誘導しえることも確かめた。

 さらに、10種類の市販ペットボトルのお茶とウイルス酵素を保温したところ、4種類の緑茶(135倍希釈)がウイルス酵素を80%以上阻害することを確かめた。

 ブレンド茶と麦茶では効果は示されなかったものの、煎茶(600倍希釈)、ティーバッグの緑茶(700倍希釈)では阻害がみられた。

 「研究では、茶カテキンが生体内に近い濃度で、ウイルス複製に必要な酵素メインプロテアーゼ(組換体)を阻害することを見出しました。ペットボトルの緑茶、急須で淹れた煎茶、ティーバッグのお茶も、ウイルス酵素を阻害することも示されました」と、研究者は述べている。

 「感染した人の体内で、茶カテキンのような食に由来する成分が、ウイルス酵素阻害作用を発揮するかについては、今後の研究で確かめる必要があるものの、お茶にウイルスを入れるとウイルスが不活性化することや、ペットボトルのお茶でも感染を抑制することなどはこれまでも報告されています。お茶は感染症の予防効果が期待されている候補のひとつです」としている。

Green tea extract combined with exercise reduces fatty liver disease in mice (ペンシルベニア州立大学 2020年2月13日)
Mitigation of nonalcoholic fatty liver disease in high-fat-fed mice by the combination of decaffeinated green tea extract and voluntary exercise (Journal of Nutritional Biochemistry 2020年2月)
茶カテキンの、太りにくい体質に関与する「褐色脂肪組織」への作用を検証 (花王 2014年8月26日)
兵庫県立大学 先端食科学研究センター
Tea Catechins in Green Tea Inhibit the Activity of SARS-CoV-2 Main Protease via Covalent Adduction (Journal of Agricultural and Food Chemistry 2025年2月5日)

[Terahata]
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