精神保健相談が過去最多、がん検診は低迷
令和6年度「地域保健・健康増進事業報告」を公表
厚生労働省は2026年3月17日、令和6(2024)年度「地域保健・健康増進事業報告」の結果を公表した。本報告は、全国の保健所・市区町村が実施した保健施策の動向を網羅するもので、保健活動のマンパワー需要や地域ニーズの変化を浮き彫りにしている。
最新の結果では、がん検診受診率が依然として低水準に留まる一方、精神保健相談が過去最多を更新し、特にデジタル化を反映したメール相談が急増。健康増進事業では「食育・離乳食」への注力による栄養指導が拡大するなど、現場の業務量は増大傾向にある。
人員体制の地域格差も顕著となっており、データに基づいた効率的な施策推進が急務となっている。
がん検診受診率は1割未満が継続
地域・職域データとの一体的把握が鍵に
市区町村が実施した令和6年度のがん検診受診率は、「胃がん」6.7%、「肺がん」5.8%、「大腸がん」6.7%、「子宮頸がん」16.0%、「乳がん」16.1%という結果だった。女性特有のがん検診が相対的に高い一方で、胃がんや肺がんは1割にも満たない。
職域でのがん検診が含まれていない点を踏まえても、国が掲げる「がん検診受診率50%以上」の目標と現状との乖離は著しい。とりわけ胃がんと大腸がんは、受診すれば早期発見・早期治療につながる検診であるにもかかわらず、地域保健事業ベースでは、10人のうち9人以上が未受診に相当する計算になる。
昨年、厚生労働省は、住民の「がん検診受診率」を正確に把握するため、市町村が職域検診や人間ドックの受診状況も含めて一括して管理する仕組みを整備する方針を示した。地域・職域のがん検診情報を一体的に把握することで、未受診の背景にある要因分析や効果的な受診勧奨につなげ、受診率向上を図ることが期待される。
健康増進指導は令和2年度比で約6割増
栄養指導は「乳幼児」、運動指導は「成人期」への介入が中心
健康増進関係事業の被指導延人員は554万9,986人で、令和2年度の349万6,273人から5年間で6割近く増加した。コロナ禍による一時的な落ち込みを考慮しても、増加幅は大きい。
内訳は「栄養指導」が339万9,474人で全体の約6割を占め最多、次いで「運動指導」が118万4,186人となっている。
指導対象をみると、栄養指導では「乳幼児」が177万7,543人と半数以上を占め、乳幼児健診などを通した食育や離乳食指導が量的に拡大している。
一方、運動指導では「20歳以上」が112万9,295人と大多数を占め、生活習慣病予防やロコモ対策など成人期への介入が中心となっている。
こうした事業量の拡大は、そのままマンパワー需要の増加を意味する。保健活動の現場では「増える業務に、人員が追いつかない」という構造的課題が、より一層顕在化しているといえるだろう。
※クリックで拡大できます
出典:「令和6(2024)年度地域保健・健康増進事業報告の概況」P.5(厚生労働省)
本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。

