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【運動の最新情報】ウォーキングは早歩きがおすすめ 肥満や不整脈リスクが低下 1日30分の歩行はがんリスクも減少

 歩行速度が速い人は、肥満リスクが少ないことが、日本人約1万人を対象とした調査で明らかになった。

 早歩きをする習慣のある人は、不整脈のリスクが減少することも、8万人超を対象とした調査で示された。早歩きをしている人では、心房細動のリスクが46%少なかった。

 「ウォーキングでは早歩きを心がけることが、健康増進のための、安全で効果的な方法になる可能性があります」と、研究者は指摘している。

 体を活発に動かすのを習慣にしていて、身体活動量が多い人は、大腸がん、胃がん、肺がん、乳がんなどの、がん発症リスクが26%低いことも分かった。

早歩きをしている人は肥満リスクが少ない 日本人を調査

 歩行速度が速い人は、肥満リスクが少ないことが、日本人を対象とした調査で明らかになった。

 研究は、同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の研究グループによるもので、研究成果は「Scientific Reports」に発表された。

 研究グループは、京都府内の健診センターの人間ドックを受診した者のうち、BMI(体格指数)が25以上で肥満と判定された8,578人の男女と、ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上の9,626人を対象に調査した。

 その結果、肥満があり「歩行速度が速い」と回答した人は、そうでない人に比べ、糖尿病のリスクが0.70倍、脂質異常症のリスクが0.97倍と低いことが分かった。

 また、ウエスト周囲径にもとづき肥満と判定された人でも、「歩行速度が速い」ことは、高血圧のリスクが0.94倍、糖尿病のリスクが0.70倍、脂質異常症のリスクが0.96倍と低いことと関連していた。

 歩行速度は、血圧や脈拍と並んで「第6のバイタルサイン」と言われている。これまでの研究でも、歩行速度が遅いことが、高齢者の中高年者の心血管疾患のリスクが高いことと関連することが報告されている。

 「肥満のある人は、主観的歩行速度が速い場合に、代謝性疾患のリスクが低下することが示されました。肥満が引き起こす健康障害を早期に予防するために、運動や身体活動に取り組むことが勧められます」と、研究者は述べている。

早歩きをしている人は不整脈のリスクも少ない 心房細動リスクが46%低下

 8万人超を対象とした別の新しい研究では、早歩きをする習慣のある人は、不整脈のリスクも減少することが示された。

 研究は、英国のグラスゴー大学やオーストラリアのクイーンズランド大学などによるもの。研究成果は「Heart」に発表された。

 不整脈は、脈が不規則になり、ゆっくり打ったり、速く打つようになった状態で、さまざまな障害が引き起こされる。そのうち心房細動は、脳梗塞や心不全を引き起こす原因にもなる。

 研究グループは、英国で実施されている大規模研究であるUKバイオバンクに参加した8万1,956人の男女を調査した。

 参加者のうち、53%が平均的なペースの歩きを、41%が早歩きを、7%がゆっくり歩きをする習慣があった。

 解析した結果、早歩きをしている人は、ゆっくり歩きをしている人に比べ、不整脈のリスクが43%少ないことが明らかになった。平均的なペースで歩いている人も、不整脈リスクは35%少なかった。

 また、心房細動のリスクも、早歩きをしている人ではゆっくり歩きをしている人に比べて46%少なく、平均的なペースでも38%少なかった。

 「歩く速度が速いことは、不整脈リスクの低下と関連していることが示されました。その一部は代謝や炎症の経路を介したものと説明できます」と、グラスゴー大学健康福祉学部のジル ペル教授は述べている。

 「ウォーキングでは早歩きを心がけることが、不整脈のリスクを軽減する、安全で効果的な方法になる可能性があります」としている。

1日30分のウォーキングががんリスクを低下
歩くのを習慣にしている人はがんリスクが26%減少
 活発なウォーキングなどの軽度から中・高強度の運動を毎日行っている人は、運動不足の人に比べ、がん発症のリスクが低いことも、新しい研究で明らかになった。

 研究は、英国国立衛生研究所およびオックスフォード大学のアライナ シュリーブス氏らによるもので、研究成果は「British Journal of Sports Medicine」に発表された。

 研究グループは、英国で実施されている大規模研究であるUKバイオバンクに参加した、年齢の中央値が63歳の8万5,394人の男女を、平均して5.8年間追跡して調査した。

 その結果、体を活発に動かすのを習慣にしていて、身体活動量が多い人は、もっとも少ない人に比べて、大腸がん、胃がん、肺がん、乳がんなどの13種類のがんの発症リスクが26%低いことが分かった。

 1日の歩数が多いほど、がんリスクが減少する傾向も示された。1日に7,000歩を歩いている人は5,000歩の人に比べ11%、9,000歩を歩いている人は5,000歩の人に比べて16%、それぞれがんリスクは減少した。

 「ウォーキングなどの軽度から中等度の強度の運動や身体活動を習慣として行うことで、がんの発症リスクが低下することが示されました。1日にわずか4,000歩、つまり約40分のウォーキングを行うだけでも、健康への大きな影響が長期的にあらわれます」と、研究者は述べている。

 「部位別にみたがんのリスクと運動習慣との関連を知るために、さらに研究が必要ですが、多くの人に、座ったまま過ごす時間を減らして、体を動かす時間を増やすことが勧められます」としている。

Association between subjective walking speed and metabolic diseases in individuals with obesity: a cross-sectional analysis (Scientific Reports 2024年11月15日)
Association of self-reported and accelerometer-based walking pace with incident cardiac arrhythmias: a prospective cohort study using UK Biobank (Heart 2025年5月2日)
Light Intensity Physical Activity Linked to Lower Cancer Risk (米国国立衛生研究所 2025年3月26日)
Amount and intensity of daily total physical activity, step count and risk of incident cancer in the UK Biobank (British Journal of Sports Medicine 2025年3月26日)

[Terahata]
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