孤独感が強い子どもほど「問題のあるインターネット使用」のリスクが高い 全国大規模調査で判明
東邦大学の福屋吉史助教、国立成育医療研究センターの石塚一枝室長・森崎菜穂部長らの研究グループはこのほど、思春期の子どもの孤独感が「問題のあるインターネット使用(Problematic Internet Use:PIU)」のリスクを高めるかどうかを検証した。
その結果、孤独感が強い子どもほど、1年後にPIUとなるリスクが有意に高いことが明らかになった。
思春期の孤独感がネットの使いすぎのリスクに
孤独感は近年、子どものメンタルヘルスを揺るがす社会的課題として注目されている。新型コロナウイルスによるパンデミックの後、欧米・アジアで「孤独を感じる10代」が増加し、ドイツでは11~15歳の孤独感が1.5倍に増えたとの報告もある。
一方、問題のあるインターネット使用/PIU(家庭や学校などの日常生活に支障が生じるほどインターネットを使用している状況)も国内外で社会問題となっており、日常生活や学業、メンタルヘルスへの悪影響が指摘されている。しかし思春期の子どもの孤独感とが問題のあるインターネット使用との関係は十分に検証されていなかった。
そこで研究グループは、全国の自治体から無作為に抽出した児童・生徒528人と保護者を対象に、2022年と2023年の2時点で質問紙調査を実施。最終的に524人の子どもと保護者の調査結果を解析した。また孤独感は「日本語版UCLA孤独感尺度短縮版」を用いて評価した。
その結果、適正な使用をしていたのは253人で全体の48.3%。不適切な使用は173人(33.0%)、問題のあるインターネット使用は98人(18.7%)だった。
また思春期の子どもの孤独感と問題のあるインターネット使用のリスクを調べたところ、孤独感の点数が1点上がるごとにリスクが14%増加した。孤独感は思春期の子どもの問題のあるインターネット使用において、独立したリスク要因であることが示唆される。
PIUは、睡眠リズムの乱れ、学習集中力の低下、イライラ感の増加、SNSトラブル、課金問題など、生活のあらゆる領域に影響を及ぼす。さらに孤独感がPIUを悪化させ、PIUが孤独感を深める悪循環のリスクも懸念される。
国立成育医療研究センターが小中高生とその保護者を対象に行った別の全国調査では、2022年・2023年ともに「インターネットを過剰に使用している」子どもが約半数、約5人に1人は「インターネット依存が強く疑われる状態」にあると報告されている。
今回の研究は、こうしたインターネット依存傾向の背景に、思春期の「孤独感」という心理的要因が独立したリスクとして関わっている可能性を示したものといえる。研究グループでは「思春期の子どもの問題のあるインターネット使用を予防するために、家庭・学校・地域での人とのつながり作りや子どもの孤独感を軽減する取り組みが大切である」と強調している。
思春期の孤独感がネットの使いすぎにつながるリスクを増大~全国大規模調査で明らかに~(国立成育医療研究センター/2025年10月24日)
【コロナ禍における親子の生活と健康の実態調査】 5人に1人はインターネット依存が強く疑われる状態 保護者評価のこどものメンタルヘルスは改善傾向も、抑うつは改善見られず(国立成育医療研究センター/2024年7月29日)
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