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妊娠前の女性の「やせ」が出産時の母子の健康に影響 低出生体重児や早産の可能性が高まる

 国立成育医療研究センターの研究グループはこのほど、妊娠前の女性の「やせ」が出産や赤ちゃんの健康にどう影響するかを検証した。

 過去の研究を幅広く集めて統合・分析した結果、妊娠前に低体重だった母親から生まれた子どもは、低出生体重児となる可能性の比や早産の可能性の比などが高いことが示された。

 日本では妊娠可能年齢の女性の約2割が低体重とされ、諸外国と比べて高い割合にある中、妊娠前からの体重・栄養状態の重要性が改めて浮かび上がった。

日本は妊娠可能年齢の女性の約2割が低体重

 研究にあたったのは、国立成育医療研究センター社会医学研究部の小林しのぶ研究員、糸井しおり研究員、森崎菜穂部長らの研究グループ。

 国民健康・栄養調査によると、日本の20~30代女性の約20%がBMI18.5未満の低体重で、欧米諸国と比べ突出して高い割合となっている。欧米では肥満が問題視される一方、日本では若い女性の「やせ」が公衆衛生上の課題だが、このような特異な状況が周産期の母子の健康に与える影響は、これまで系統的に評価されてこなかった。

 そこで研究グループは、日本人女性における妊娠前低体重(BMI18.5未満)が周産期の健康状態に与える影響について、過去に発表された5,000件超の研究論文をスクリーニング。2000年1月から2024年2月までの34研究(約76万人分)の妊娠データを用いてメタ解析を行った。日本人女性に特化した初めての包括的なメタ解析だとしている。

 研究では、妊娠前に標準体重(BMI18.5以上25.0未満)の母親と、低体重(BMI18.5未満)の母親から生まれた子どもを比較。

 その結果、低体重の母親では、低出生体重児が発生する可能性の比が1.61倍、早産の可能性の比が1.23倍、妊娠週数に対して出生体重が平均より小さい在胎不当過小児(SGA:Small for Gestational Age)の可能性の比が1.59倍となった。また出生体重は平均115.02グラム低下していた。

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出典:国立成育医療研究センター

 これらの結果は、日本では妊娠可能年齢の女性の約2割が低体重とされる環境にあるにもかかわらず、母子の健康に関わるリスクは減少しないことを示している。一方で本解析は、年齢などの交絡因子を統一的に調整できない点があるなど、結果の解釈には一定の注意が必要だとしている。

 健診や保健指導の現場では、妊娠を見据えた段階から、無理な食事制限ではなく栄養バランスを踏まえた体重・食生活の見直しを具体的に支えられるかが問われるだろう。

"妊娠前の女性の「やせ」が出産時の母子の健康に影響 ~低出生体重児や早産の可能性が高まることが明らかに~(国立成育医療研究センター/2026年1月29日)

[yoshioka]