特定健診で高血圧を指摘された未治療者を追跡 次回健診で140/90mmHg未満は約58%(大阪大学ほか)
特定健診で高血圧域の血圧を認め、健診時点で高血圧治療が確認されなかった人を対象に、その後の血圧コントロールと目標達成に関連する要因を分析した研究成果が発表された。
大阪大学大学院医学系研究科、神戸薬科大学、ノバルティス ファーマ株式会社の研究グループが、神奈川県平塚市の特定健診・レセプトデータなどを用いて行った後ろ向きコホート研究によるもの。成果は「Hypertension Research」と「Journal of Cardiology」に掲載された。
健診時未治療の5,428人を解析
研究では、2016年5月から2023年3月までの神奈川県平塚市の特定健診・レセプトデータなどを使用。期間中に2回以上の特定健診記録がある40~74歳の国民健康保険加入者のうち、基準となる健診で収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上を認め、健診前6カ月以上にわたり高血圧治療が確認されなかった5,428人を解析した。
次回健診時に、研究の主要評価項目である140/90mmHg未満を達成した人は3,171人(58.4%)だった。一方、より厳格な130/80mmHg未満を達成した人は980人(18.1%)にとどまった。
多変量解析では、140/90mmHg未満の達成割合が低いことと関連した項目として、高齢(70~74歳)、Ⅱ度・Ⅲ度高血圧、前回健診でも高血圧域だったこと、生活習慣改善への意欲が高まっていないこと、脂質異常症の既往または新規発症などが示された。居住地域による違いもみられ、医療機関へのアクセスなど地域環境との関連が示唆された。
薬の処方の有無で異なる関連要因
研究グループはさらに、同じ5,428人を、次回健診までに降圧薬が処方された2,468人と、処方されなかった2,960人に分け、決定木解析を行った。140/90mmHg未満を達成した人は、それぞれ1,515人(61.4%)、1,656人(55.9%)だった。
両群に共通して、最初の主な分岐項目となったのは「前回健診における高血圧の有無」、続いて「健診時の血圧重症度」だった。前回健診で高血圧を指摘されておらず、今回の血圧がⅠ度高血圧だった人で、140/90mmHg未満の達成割合が高かった。
降圧薬が処方されなかった人のうち、新たにⅠ度高血圧となった集団では、γ-GTPの低下幅が大きい人ほど140/90mmHg未満の達成割合が高かった。Ⅱ度・Ⅲ度高血圧では、健診時の中性脂肪値が低い人で達成割合が高い傾向がみられた。一方、降圧薬が処方された集団では年齢が比較的重要な項目となり、若い年代ほど達成割合が高かった。
ただし、本研究は観察研究であり、γ-GTPの低下が血圧低下を直接もたらしたことを示すものではない。γ-GTPの低下は、生活習慣や代謝状態の変化を反映した可能性がある。
保健指導と受診勧奨の優先づけに示唆
研究グループは、比較的若く、血圧上昇が軽度で、前回健診では高血圧を指摘されていない人などには、生活習慣改善への働きかけが有用となる可能性を示している。
一方、高齢者や高血圧が継続している人、Ⅱ度・Ⅲ度高血圧の人については、生活習慣指導だけで完結させず、医療機関への受診勧奨を行い、必要に応じて治療と保健指導を並行することが重要と考えられる。
今回の結果は、限られた時間や人員の中で、対象者の血圧値、過去の健診結果、治療状況、行動変容への意欲などに応じて、保健指導と受診勧奨の方法や優先度を検討するための基礎資料となる。
なお、本研究は特定健診を複数回受診した40~74歳を対象とする観察研究であり、選択バイアスや白衣高血圧の可能性があるため、結果の解釈には注意が必要である。
参 考
健診で高血圧を指摘されたら、どうしますか? 特定健診解析による高血圧患者の動向調査|大阪大学「ResOU」(2026年7月9日)
Modifiable factors to achieve target blood pressure in hypertensive participants|Hypertension Research
A greater reduction in γ-GTP was associated with achieving BP <140/90 mmHg without antihypertensive medication among individuals who newly developed Grade I hypertension|Journal of Cardiology
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