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事業場の健康保持増進に2次予防を位置付けへ 厚労省検討会がTHP指針の見直し案

 厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会」は、7月3日の第3回会合で報告書(案)とTHP指針の改正案を示した。

 報告書(案)は、生活習慣改善などの1次予防を主とする現在の枠組みに加え、疾病の早期発見・早期治療を図る2次予防も、健康保持増進対策の一環として推進する方向を提示。がん検診等の受診機会の提供や、その結果に応じた精密検査・専門医への受診勧奨、医療保険者・地域保健との連携、治療と就業の両立支援などを盛り込む考えを示している。

1次予防を主とするTHP指針を見直し

 THP指針は1988年の策定後、社会情勢や労働者の健康課題の変化に応じて改正されてきた。今回の検討会では、政府が進める「攻めの予防医療」や、高年齢労働者の増加、がんや女性特有の健康課題などへの対応を踏まえ、疾病の早期発見・早期治療を含む2次予防を健康保持増進対策にどのように位置付けるかが議論された。

 検討会は2026年4月に初会合を開催。第2回では、健康保険組合や企業による取組事例などをもとに議論を進め、第3回で報告書(案)を示した。

健康保持増進対策に2次予防を位置付けへ

 現行のTHP指針では、生活習慣改善などによる疾病の発症予防、すなわち1次予防を主としている。これに対し報告書(案)は、疾病の早期発見・早期治療を図る2次予防の取組も推進すべきとした。

 同案は、業務起因性が必ずしも認められない疾病の2次予防について、事業者のみが推進の責務を負うものではないと整理した。一方で、労働者の健康への投資は経営にも資するとの理解のもと、それぞれの事業場の実情に応じて創意工夫して進めることが適当とし、THP指針の改正や支援策を通じて事業者の自主的な取組を後押しする方向性を示している。

 2次予防の対象には、がん、女性特有の健康課題(月経不順、月経困難症、過多月経、月経前症候群、更年期障害等)、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患などを含むものとすべきとしている。

 具体的な取組としては、対象となる疾病に関する検診と、その結果に基づく精密検査や専門医への受診勧奨を挙げた。方法として、事業者自ら、または医療保険者と連携して健康診断の機会を活用した検診等の受診機会を提供すること、市町村が実施する検診の受診勧奨や、受診のための休暇を付与することなどを想定している。
 また、労働者が科学的根拠等を踏まえて、がん等の予防や検診受診、精密検査の必要性について正しく理解できるよう、事業場の実態に応じて健康教育を実施することも盛り込んだ。検診等の機会を提供する際には、「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」における健康診査の精度管理等に留意する必要があるとしている。

 健康保持増進を労働者の自己管理だけに委ねるのではなく、事業者による検診機会の提供や受診勧奨、医療保険者・地域保健との連携、治療と就業の両立を支える環境整備を組み合わせて進める考え方も示された。

医療保険者や地域保健と連携し、事業場の実情に応じて実施

 報告書(案)では、2次予防をはじめとする健康保持増進措置について、それぞれの事業場の実態に合わせて実施する必要があるとしている。また、すべての措置を実施することが困難な場合には、可能なものから取り組むなど、各事業場の実態に即した形で進めることが望ましいとした。

 特に小規模事業場では、事業場内の推進スタッフの確保が難しい場合がある。このため、産業保健総合支援センターや医療保険者、地域の医師会・歯科医師会、地方公共団体などの事業場外資源に加え、社外の健康支援サービスも活用しながら取組を進めることが想定されている。

改正指針に基づく取組への国の支援も提言

 報告書(案)は、非正規労働者を含むすべての労働者の健康増進が進むよう、産業保健総合支援センターや労働災害防止団体等と連携し、中小企業等の取組を支援することを国に求めている。

 このほか、健康経営との連携による企業の取組の促進、がん等に関する健康教育教材の情報提供、改正THP指針を踏まえた取組状況の調査なども今後の施策として挙げた。

 報告書(案)は今後の会合で引き続き検討される予定であり、最終的な取りまとめとTHP指針の改正内容に加え、改正後の指針に基づく取組を各事業場でどのように実践していくかが注目される。

参 考

事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会 第3回資料|厚生労働省(2026年7月2日)
事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会|厚生労働省

[保健指導リソースガイド編集部]