オピニオン/保健指導あれこれ
特定保健指導における健康保険組合・事業所・労働衛生機関との連携について ~労働衛生機関の保健師としての6年間の取り組みから~
No.2 【好事例】健康保険組合と事業所の連携 ~連携に向けた協議会の開催~
(公財)神奈川県予防医学協会 健康創造室・相談課
2014年07月25日
No.1では特定健診・特定保健指導事業が、健康日本21の目指す方向と一致しており、単に減量や実施率の向上が目的ではないことと、対象者は、労働安全衛生法や学校保健安全法などによる対象でもあることをお伝えしました。事業の実施主体が異なっても、健康増進という目指すべき方向は違いありません。
したがって、特定健診・特定保健指導事業も、関係事業の担当者が全体像を理解し、関係する法律や事業の特徴をふまえ連携することで、対象者にとっても事業の実施者にとっても有効な健康増進策になると考えています。
今回は、健康保険組合と事業所が連携し、高齢者医療確保法の特定保健指導と労働安全衛生法66条の定期健康診断後の保健指導(以下、健診事後指導とします)とを効果的に実施できた事例をご紹介いたします。
したがって、特定健診・特定保健指導事業も、関係事業の担当者が全体像を理解し、関係する法律や事業の特徴をふまえ連携することで、対象者にとっても事業の実施者にとっても有効な健康増進策になると考えています。
1. 連携に至る経緯
1)健康保険組合~実施できる事業所がなく困っていた~
A健康保険組合は総合健康保険組合であり、同業種の複数の企業が共同で設立しています。健康保険組合には特定保健指導を実施できる人材がおらず、各事業所の協力が必要でした。しかし、ほとんどの事業所に常勤の看護職がおらず、特定保健指導に積極的に協力したいという事業所がなく困っていました。 2)労働衛生機関
~3者の協議会をご提案~
当機関は、A健康保険組合の特定健診を受託していたため、特定保健指導の実施に向けたお問い合わせがありました。アウトソーシング機関として保健指導を受託することはできますが、常勤保健師がいる事業所があるとのことでしたので、よりよい事業展開の可能性を考え、連携を視野に3者での協議会をご提案しました。 3)事業所
~健診事後指導を全従業員に実施していた~
A健康保険組合に加入しているB事業所は常勤の保健師がいました。事業所では健診事後指導を実施していますが、単に有所見者への受診勧奨や保健指導だけでなく、疾病の予防や健康増進を目的に無所見者も含めた全従業員への面談を長年継続していました。
2. 協議会の開催
~3者が連携した特定保健指導実施の方針で合意~健康保険組合を主催者として3者の協議会が開催されました。
健康保険組合の担当者と事業所の看護職が同席し話し合うのは初めてのことでしたが、お互いの現状を知るための情報交換とし、和やかな雰囲気で話しあうことができました。 1)健康保険組合の担当者
事業所の協力が不可欠であり少数でもよいので事業所に無理のないような方法で実施し、実績を重ねていきたいという意見でした。 2)事業所保健師
特定保健指導の目的と自らが実施してきた全従業員への保健指導の目的は一致していると捉えており、特定保健指導を活用することで、従業員に対しより充実した保健指導が展開できると考えていました。しかし、費用や人材の課題があるため、実施に向けた協力については検討が必要であるという意見でした。 3)労働衛生機関
すでに特定保健指導のプログラムを持ち、いくつかの顧客に対し実施していましたので課題解決のためのお手伝いができそうだと考えました。 このように第1回の協議会で、健康保険組合と事業所と労働衛生機関が連携し特定保健指導を実施しようという方針が決まりました。
★☆ワンポイントコラム☆★
この3者の連携がスムーズに成立したことにはちょっとした秘訣?があったと思っています。
実はこのB事業所の保健師と私どもの保健師は面識がありました。看護協会の活動や有志の勉強会に参加しており、職場以外での交流をもっていたのです。全く知らない者同士で「初めまして」から事業の話を始めるよりも、「○○さんとなら。」と思える関係ができていれば、スムーズに、よりふみこんだ話し合いができます。
専門職として、職場内外問わず研修会や学会に参加し自己研鑽に努めることは当然ですが、同職種が集まる機会に交流をもつことも重要だと思います。お互いに知識・技術を高めることだけでなく、仕事を楽しく続ける元気をもらえるかもしれません。特に、1人職場の多い産業看護職にとって仲間がいることは刺激や励みになるのではないでしょうか。
この3者の連携がスムーズに成立したことにはちょっとした秘訣?があったと思っています。
実はこのB事業所の保健師と私どもの保健師は面識がありました。看護協会の活動や有志の勉強会に参加しており、職場以外での交流をもっていたのです。全く知らない者同士で「初めまして」から事業の話を始めるよりも、「○○さんとなら。」と思える関係ができていれば、スムーズに、よりふみこんだ話し合いができます。
専門職として、職場内外問わず研修会や学会に参加し自己研鑽に努めることは当然ですが、同職種が集まる機会に交流をもつことも重要だと思います。お互いに知識・技術を高めることだけでなく、仕事を楽しく続ける元気をもらえるかもしれません。特に、1人職場の多い産業看護職にとって仲間がいることは刺激や励みになるのではないでしょうか。
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