ビタミンDは女性の健康のために必要 多くの人が不足している ビタミンD不足が簡単に分かる質問票

カルシウムとビタミンDは、健康な骨をつくり維持し、骨粗鬆症のリスクを軽減するために必要だが、多くの人はビタミンDが足りていない。
とくに女性では、ビタミンDを適切にとれていると、乳がん、心臓病、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などのリスクを減らすのにも役立つ可能性がある。
ビタミンD欠乏リスクを判定するための質問票も公開されている。
ビタミンDが不足している人が多い
カルシウムとビタミンDは、とくに健康な骨をつくり維持し、骨粗鬆症のリスクを軽減するために必要だが、米国の成人の9割以上は、食品からのビタミンDの摂取量が推奨量を満たしていないという。
米テンプル大学ヘルスシステムのサマンサ ソー氏によると、とくに50歳以上の女性の2人に1人は、なんらかの時点で骨折を経験している。高齢になってからの骨折や体力や筋力の低下は、命を脅かし、要介護・支援のリスクを高める可能性がある。
ビタミンDは、カルシウム吸収をサポートし、骨の成長を促す。また、女性の乳がん、心臓病、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などのリスクを減らすのに役立つ可能性がある。
「日本人の食事摂取基準 2025年版」では、ビタミンDの成人男女の1日の摂取の目安量は9.0μg、上限量が100μgとされている。米国では、70歳未満の成人はビタミンDを1日に15μgの摂取することが推奨されている。
こうすればビタミンDをとれる
テンプル大学によると、ビタミンDなどは一般的に、他のビタミンやミネラル、食物繊維などといっしょに摂取するのが良い。
ビタミンDは、サバ・イワシ・マグロ・ブリ・サーモンなどの油の多い魚、シイタケ・キクラゲなどのキノコ類、卵、チーズ、牛レバー、牛乳、ヨーグルト、豆乳などの植物性ミルクなどの食品に含まれる。
ビタミンDは、肌を日光にさらすことでも、体内で生成される。ほとんどの人は、少なくとも週2回、午前10時から午後4時の間に5〜30分間日光を浴びるだけで、十分な量を生成できるとしている。
日焼け止めを塗っている場合でも、体内でビタミンDを生成するきっかけとなる紫外線を完全に遮断する量の日焼け止めを塗ることはあまりないので、十分なビタミンDを生成できるとしている。
ビタミンDのサプリメントについては、骨粗鬆症のリスクを低減するのに役立つ可能性があるという報告はあるものの、心臓病、がん、2型糖尿病などの健康問題のリスク低減との関連を明確な効果を示した研究は発表されていないという。
ただし、食事からビタミンDを摂取するのが難しい人、肥満や消化器系疾患のある人、日光を浴びるのが難しい人は、医師からビタミンDの服用が勧められることがある。
血中ビタミンD濃度が異常に高くなると、高カルシウム血症などが起こるおそれもあるので、とりすぎにも注意が必要だ。かかりつけの医師や栄養士に相談することが大切だ。
ビタミンD欠乏判定簡易質問票
大阪公立大学は、ビタミンD欠乏リスクを判定するための、日本人のための新しい質問票を開発し公開している。
日本でも多くの人が、ビタミンDが不足しているという報告があり、とくに若年女性のあいだでビタミンDの不足・欠乏は深刻な問題になっている。
そこで研究グループは、ビタミンD欠乏の実態と要因を明らかにし、日本人のためのビタミンD欠乏リスクを判定する簡易質問票「VDDQ-J」(Vitaimn D Deficiency questionnaire for Japanese)を開発した。
この質問票を使うと、年齢、性別、季節、運動習慣、日光を浴びる頻度、日焼け止めの使用、ビタミンDが豊富な魚などの摂取、ビタミンDサプリメントの使用などの、簡単な質問に答えるだけで、自身のビタミンD欠乏リスクが分かる。
「ビタミンDが不足していると、知らないあいだに病気のリスクは高まります。自分の健康を意識することで、まずはご自身の、そして次世代の健康につなげていくことが大切です」と、研究者は述べている。
同大学は、より若年女性に特化したスクリーニング票も開発した。「次世代の健康を守るためにも、個人、集団のビタミンD欠乏リスクを把握し、早期から改善に取り組むきっかけをつくるためのツールです」としている。
Vitamin D: Fact Sheet for Health Professionals (米国国立衛生研究所 2024年7月26日)
Vitamin D and Your Health: 6 Things Every Woman Should Know (テンプル大学 2024年11月22日)
大阪公立大学健康科学イノベーションセンター
ビタミンの健康科学研究 (大阪公立大学健康科学イノベーションセンター)
A simple questionnaire for the prediction of vitamin D deficiency in Japanese adults (Vitaimn D Deficiency questionnaire for Japanese: VDDQ-J) (Journal of Bone and Mineral Metabolism 2019年2月5日)
Development of a predictive scoring system for vitamin D deficiency 'Vitamin D Deficiency Predicting Scoring (ViDDPreS)' based on the vitamin D status in young Japanese women: a nationwide cross-sectional study (Public Health Nutrition 2024年9月27日)


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年05月12日
- メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
- 2025年05月12日
- 都市に自然を増やすと健康増進につながり気候変動対策にも 木を植えて環境を改善すると赤ちゃんの体重にも影響
- 2025年05月12日
- ビタミンDは女性の健康のために必要 多くの人が不足している ビタミンD不足が簡単に分かる質問票
- 2025年05月12日
- 【熱中症予防】気候変動による暑熱 スポーツ活動を行うのが困難に 「予防強化キャンペーン」を開始
- 2025年05月07日
- 【高血圧の日】運動時間をわずか5分増やすだけで高血圧は改善 歩数を何歩増やすと理想的?
- 2025年05月01日
- ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
- 2025年05月01日
- 運動意欲を高める方法 「マインドフルネス+ウォーキング」は効果が高い 働く人のストレスも軽減
- 2025年05月01日
- 【デジタル技術を活用した血圧管理】産業保健・地域保健・健診の保健指導などでの活用を期待 日本高血圧学会
- 2025年04月21日
- 日本の女性の極端な「痩せ」は不健康 体調不良をともなう低体重や低栄養を新たな症候群として位置付け 日本肥満学会など
- 2025年04月21日
- 中年期に食生活を改善すれば健康に年齢を重ねられる 食事で脳の老化も防げる アルコールの飲みすぎにはご注意