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自殺者を10年で3割減らす 地域の自殺対策を強化 厚労省が目標
2017.05.10
 国の指標となる「自殺総合対策大綱」を見直している厚生労働省の検討会(座長:本橋豊・自殺総合対策推進センター長)は、自殺対策に関する報告書案を了承した。
日本の自殺率は先進国でもっとも高い
 報告書は、国が新たに策定する自殺総合対策大綱の方向性などを取りまとめたもので、自殺死亡率を10年間で3割以上減少させることなどを盛り込み、地域自殺対策推進センターを中心に、関係機関や団体によるネットワークを構築し、地域包括ケアと一体的に推進する必要性を強調している。

 自殺総合対策大綱は、2006年施行の自殺対策基本法にもとづき、2007年にはじめて策定された。2012年には全体的な見直しが行われ、精神科医療体制を充実させる方策を検討することなどが施策に盛り込まれた。

 日本の自殺者数は2016年に2万1,897人となり、7年連続で減少している。しかし報告書は「依然として自殺者数が年間2万人を超えるという深刻な状況にある。また、主要先進7ヵ国の中で、自殺死亡率はもっとも高い」と日本の現状を問題視している。

 日本の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は、2015年は18.5人で、2005年の24.2人を比べると23.6%減少しており、自殺死亡率を20%以上減少させるという目標は達成している。

 これに対して、世界保健機関(WHO)の調査によると、フランスは15.1人、米国は13.4人、ドイツは12.6人、英国は7.5人、イタリアは7.2人となっており、日本の現状は「決して楽観できるものではない」としている。
2026年までに自殺率を30%以上減らす目標
 そこで報告書には、自殺対策を「地域レベルの実践的な取組」による「生きる支援」として再構築し、自殺総合対策のさらなる推進を求め、自殺対策基本法の改正などの法整備に取り組むことなどが盛り込まれた。

 具体的には、2026年までに自殺死亡率を13.0人以下へと30%以上減らすべきだとする新たな目標が掲げられた。

 地域の精神科医療機関を含めた医療、保健、福祉、教育などの関係機関・団体によるネットワークの構築を要望。施策の連動性を高めて、適切な精神保健医療福祉サービスができるよう、地域包括ケアシステムを整備する必要性を挙げている。

 さらに、地域自殺対策推進センターが、管内市町村のエリアマネージャーとして、計画の策定・進捗管理・検証などを支援する。同センターが提供する「自殺実態プロファイル」や「政策パッケージ」を、地域の自殺対策計画の策定に活用できるよう地域レベルの取り組みを求めている。
過労自殺や職場での人間関係による自殺にも対策
 重点的なテーマとしては、電通の違法残業事件などをふまえ、過労自殺や職場での人間関係による自殺の対策に取り組むことを挙げた。

 ストレス関連疾患の増加は、企業の活力や生産性の低下をもたらすため、「働く方の健康管理を経営的な視点から考え、産業医や保健師らが関わる産業保健の分野を充実させるべき」と明記した。

 「働き方改革実現会議」では、長時間労働の是正、パワーハラスメント対策、メンタルヘルス対策を含めて審議が行われている。自殺対策の観点からも、これらを推進していくことを重視している。

 過労死をもたらす主な原因である長時間労働の是正に向けた更なる取組を行うことも必要だ。過労死等の原因のひとつである長時間労働の是正とともにパワーハラスメントの防止等は急務であり、「働き方改革実行計画」も踏まえて対応していくべきだとしている。

 ストレスチェックが義務化されていない小規模な職場に対する支援策について、支援策の周知が進んでいないと考えられることから、支援策を周知することも必要となる。
育児に悩みを抱える母親への支援も強化
 また、妊産婦の自殺が問題になっていることも指摘。産後うつの早期発見や、乳幼児健診を通じて育児に悩みを抱える母親への支援を強化するなど対策を充実させるべきだとしている。

 妊産婦は、同世代の一般女性に比べて、健診で定期的に医療機関を受診する機会が多いにもかかわらず、妊産婦の自殺死亡率は、同世代の一般女性の自殺死亡率の約3分の2に及ぶことが報告されている。

 妊産婦への支援について、女性のこころの健康づくりを推進する観点から、「産後うつ病の症状の早期発見、適切な受療のための支援、乳幼児健診を通じた育児の悩みを抱える母親の支援を行うなど、今後、妊産婦を支援する関連施策との連携を図るべき」だと盛り込んだ。

 また、女性のライフサイクルを理解した上で、女性を主な対象とした各種施策と自殺対策との連携を図っていく必要がある。心身に深刻な影響を与え、長期にわたって自殺のリスクとなりかねないDV(ドメスティック・バイオレンス)の防止のための教育・啓発、相談体制、性犯罪・性暴力の被害者支援の充実を図るべきだとしている。
都道府県や市町村は独自の数値目標を掲げ検証
 このほか報告書は地域で自殺対策を推進していく中で、都道府県や市町村は独自の数値目標を掲げ、目標を達成できたかどうか検証するよう求めた。

 地域での自殺対策としては、自殺総合対策推進センターや全国の地域自殺対策推進センターによる強力な支援を通じて、「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)」の4段階によるPDCAサイクルを推進していく。

 地域自殺対策を推進していくためには、地域の特性や課題に応じ、都道府県自殺対策計画にもとづくPDCAサイクルの構築・定着を支援し、実践的に解決していく枠組みを作ることが必要となる。

 このため、地域自殺対策推進センターが、いわば管内のエリアマネージャーとして、自殺総合対策推進センターの支援を受けつつ、管内の市町村を取り巻く環境に適した自殺対策の改善・最適化を図っていく。

第6回新たな自殺総合対策の在り方に関する検討会(厚生労働省)
新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会報告書(案)
(Terahata)
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