ニュース

自殺者を10年で3割減らす 地域の自殺対策を強化 厚労省が目標

 国の指標となる「自殺総合対策大綱」を見直している厚生労働省の検討会(座長:本橋豊・自殺総合対策推進センター長)は、自殺対策に関する報告書案を了承した。
日本の自殺率は先進国でもっとも高い
 報告書は、国が新たに策定する自殺総合対策大綱の方向性などを取りまとめたもので、自殺死亡率を10年間で3割以上減少させることなどを盛り込み、地域自殺対策推進センターを中心に、関係機関や団体によるネットワークを構築し、地域包括ケアと一体的に推進する必要性を強調している。

 自殺総合対策大綱は、2006年施行の自殺対策基本法にもとづき、2007年にはじめて策定された。2012年には全体的な見直しが行われ、精神科医療体制を充実させる方策を検討することなどが施策に盛り込まれた。

 日本の自殺者数は2016年に2万1,897人となり、7年連続で減少している。しかし報告書は「依然として自殺者数が年間2万人を超えるという深刻な状況にある。また、主要先進7ヵ国の中で、自殺死亡率はもっとも高い」と日本の現状を問題視している。

 日本の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は、2015年は18.5人で、2005年の24.2人を比べると23.6%減少しており、自殺死亡率を20%以上減少させるという目標は達成している。

 これに対して、世界保健機関(WHO)の調査によると、フランスは15.1人、米国は13.4人、ドイツは12.6人、英国は7.5人、イタリアは7.2人となっており、日本の現状は「決して楽観できるものではない」としている。
2026年までに自殺率を30%以上減らす目標
 そこで報告書には、自殺対策を「地域レベルの実践的な取組」による「生きる支援」として再構築し、自殺総合対策のさらなる推進を求め、自殺対策基本法の改正などの法整備に取り組むことなどが盛り込まれた。

 具体的には、2026年までに自殺死亡率を13.0人以下へと30%以上減らすべきだとする新たな目標が掲げられた。

 地域の精神科医療機関を含めた医療、保健、福祉、教育などの関係機関・団体によるネットワークの構築を要望。施策の連動性を高めて、適切な精神保健医療福祉サービスができるよう、地域包括ケアシステムを整備する必要性を挙げている。

 さらに、地域自殺対策推進センターが、管内市町村のエリアマネージャーとして、計画の策定・進捗管理・検証などを支援する。同センターが提供する「自殺実態プロファイル」や「政策パッケージ」を、地域の自殺対策計画の策定に活用できるよう地域レベルの取り組みを求めている。
過労自殺や職場での人間関係による自殺にも対策
 重点的なテーマとしては、電通の違法残業事件などをふまえ、過労自殺や職場での人間関係による自殺の対策に取り組むことを挙げた。

 ストレス関連疾患の増加は、企業の活力や生産性の低下をもたらすため、「働く方の健康管理を経営的な視点から考え、産業医や保健師らが関わる産業保健の分野を充実させるべき」と明記した。

 「働き方改革実現会議」では、長時間労働の是正、パワーハラスメント対策、メンタルヘルス対策を含めて審議が行われている。自殺対策の観点からも、これらを推進していくことを重視している。

 過労死をもたらす主な原因である長時間労働の是正に向けた更なる取組を行うことも必要だ。過労死等の原因のひとつである長時間労働の是正とともにパワーハラスメントの防止等は急務であり、「働き方改革実行計画」も踏まえて対応していくべきだとしている。

 ストレスチェックが義務化されていない小規模な職場に対する支援策について、支援策の周知が進んでいないと考えられることから、支援策を周知することも必要となる。
育児に悩みを抱える母親への支援も強化
 また、妊産婦の自殺が問題になっていることも指摘。産後うつの早期発見や、乳幼児健診を通じて育児に悩みを抱える母親への支援を強化するなど対策を充実させるべきだとしている。

 妊産婦は、同世代の一般女性に比べて、健診で定期的に医療機関を受診する機会が多いにもかかわらず、妊産婦の自殺死亡率は、同世代の一般女性の自殺死亡率の約3分の2に及ぶことが報告されている。

 妊産婦への支援について、女性のこころの健康づくりを推進する観点から、「産後うつ病の症状の早期発見、適切な受療のための支援、乳幼児健診を通じた育児の悩みを抱える母親の支援を行うなど、今後、妊産婦を支援する関連施策との連携を図るべき」だと盛り込んだ。

 また、女性のライフサイクルを理解した上で、女性を主な対象とした各種施策と自殺対策との連携を図っていく必要がある。心身に深刻な影響を与え、長期にわたって自殺のリスクとなりかねないDV(ドメスティック・バイオレンス)の防止のための教育・啓発、相談体制、性犯罪・性暴力の被害者支援の充実を図るべきだとしている。
都道府県や市町村は独自の数値目標を掲げ検証
 このほか報告書は地域で自殺対策を推進していく中で、都道府県や市町村は独自の数値目標を掲げ、目標を達成できたかどうか検証するよう求めた。

 地域での自殺対策としては、自殺総合対策推進センターや全国の地域自殺対策推進センターによる強力な支援を通じて、「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)」の4段階によるPDCAサイクルを推進していく。

 地域自殺対策を推進していくためには、地域の特性や課題に応じ、都道府県自殺対策計画にもとづくPDCAサイクルの構築・定着を支援し、実践的に解決していく枠組みを作ることが必要となる。

 このため、地域自殺対策推進センターが、いわば管内のエリアマネージャーとして、自殺総合対策推進センターの支援を受けつつ、管内の市町村を取り巻く環境に適した自殺対策の改善・最適化を図っていく。

第6回新たな自殺総合対策の在り方に関する検討会(厚生労働省)
新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会報告書(案)
[Terahata]

「」に関するニュース

最新ニュース

2017年06月28日
がん検診の受診率 50%超は男性肺がんのみ 乳がんと子宮頸がんは低迷
2017年06月28日
週1回のセックスが脳の老化を防止 50歳以降の性生活が健康に関与
2017年06月28日
1日20分の運動でも効果がある 「クロスフィット」が糖尿病の改善に有用
2017年06月28日
植物性食品ベースの食事療法で2倍の減量に成功 筋肉脂肪を減らす効果も
2017年06月28日
妊婦の半数以上が妊娠前・妊娠中に医薬品・サプリを使用 10万人を調査
2017年06月28日
膵臓がん 簡易な血液検査で早期発見 鹿児島で臨床研究を開始
2017年06月27日
【新連載】日本の元気を創生する ‐開業保健師の目指していること‐
2017年06月26日
3つのアプリを開発「考えよう!いじめ・SNS@Tokyo」
2017年06月26日
子どもの健康の地域間格差が拡大している可能性を発表
2017年06月22日
【健やか21】子どもの健康の地域間格差が拡大している可能性
2017年06月21日
東京糖尿病療養指導士(東京CDE)、東京CDS 講習会の日程を発表
2017年06月21日
日本の介護の現状をレポート 「介護社会」の本格的な到来に備える
2017年06月21日
世界の3人に1人が肥満か過体重 世界規模で保健指導が必要
2017年06月21日
ブロッコリーで糖尿病を改善? 「スルフォラファン」が血糖値を下げる
2017年06月21日
糖尿病+高血圧 どうすれば治療を両立できる? 高血圧の治療が進歩
2017年06月21日
「健康長寿新ガイドライン」を策定 東京都健康長寿医療センター
2017年06月20日
「血糖トレンドを知るには。」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2017年06月19日
広がる電子母子手帳~健康情報を管理するアプリとも連携(神奈川県)
2017年06月16日
【健やか21】子ども外傷患者初期対応アセスメントシート 活用マニュアル
2017年06月15日
乳がん検診は今後はどう変わる? 「高濃度乳房」の実態調査を開始
2017年06月15日
食育推進計画を策定した市町村は78%に上昇 「平成28年度食育白書」
2017年06月15日
日本初の「心房細動リスクスコア」を開発 検診項目からリスクが分かる
2017年06月15日
赤ワインのポリフェノールで血管が柔らかく 糖尿病の動脈硬化も改善
2017年06月15日
内臓脂肪が増えるとがんリスクが上昇 腹囲の増加は「危険信号」
2017年06月15日
HbA1cを測定できる「ゆびさきセルフ測定室」 全国に1,500ヵ所以上
2017年06月08日
【健やか21】子ども・若者育成支援「専門分野横断的研修」研修生募集
2017年06月07日
若い世代の産業保健師を育成するプロジェクトがスタート
2017年06月07日
産業保健プロフェッショナルカンファレンス サイトを公開
2017年06月07日
糖尿病医療に貢献するビジネスプランを募集するコンテストを開始
2017年06月07日
健康に生きるための5つの「ライフ スキル」 人生で勝つために学びが必要

おすすめニュース

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 6,135 人(2017年06月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶