女性の月経にともなう困難症状は運動習慣によって異なる 生活習慣に応じた対策・支援が必要

月経随伴症状の重症度は運動習慣によって異なる
月経にともなう困難症状(月経随伴症状)の重症度は、運動習慣によって異なることが、筑波大学、順天堂大学、日本女子体育の調査で明らかになった。
月経随伴症状は、月経にともないあらわれる身体的・精神的な症状の総称。若年女性の90%が経験しており、重度の症状を有する場合は、学校や仕事を欠席せざるをえないなど、日常生活にも影響を与え、若年女性の生活の質をゆるがしかねない。
また、経済産業省の「働く女性の健康推進に関する実態調査2018」によると、月経随伴症状による年間の社会的負担は6,828億円と推定されており、重大な社会的課題になっている。
今回の研究で、運動習慣のない若年女性と、運動習慣のある若年女性を比べた結果、月経随伴症状の重症度に影響する要因は、運動習慣の有無によって異なる可能性が示された。
運動習慣のない女性ではストレスなどが月経随伴症状の重症度に関連
研究グループは、日常的に運動を行っていない若年女性(運動習慣のない女性)99人と定期的に運動を行っている女子サッカー選手(運動習慣のある女性)125人を対象に、症状の重症度と個人特性、生活習慣などについてのWebアンケート調査を実施した。
月経随伴症状の重症度に影響を与える要因を、運動習慣の有無によって比較した。
その結果、運動習慣のない若年女性では、▼重度の症状を有すること、▼月経日数が長いこと、▼ストレスレベルが高いこととの関連がみられた。
一方、運動習慣のある若年女性では、▼重度の症状を有すること、▼体格指数(BMI)が高いこと、▼就寝時間が遅いこと、▼月経随伴症状を有している、または有する家族がいること、▼カフェインの摂取があること、▼週あたりの朝食摂取頻度が少ないことが関連していた。
個人の生活習慣などに応じた対策や支援が必要
「月経随伴症状の重症度に影響を与える要因は運動習慣の有無によって異なる可能性があり、個人の生活習慣などに応じた適切な対策が必要であることが示唆されました」と、研究者は述べている。
「今後さらに、月経随伴症状との関連が認められた項目を改善することで、症状が軽減されるか、また症状が軽減されることで生活の質は向上するのかについて、検証を行っていきます」としている。
これまで月経随伴症状の重症度に影響を与える要因についての検討は多く行われていたが、その多くが運動習慣のない女性を対象とした研究であり、運動習慣のある女性を対象とした研究はほとんどなかった。
女性アスリートでも、運動習慣のない女性と同様に月経随伴症状の発現が認められており、競技パフォーマンスへの影響も懸念されている。
ロジスティック回帰分析の結果(黄色ハイライトで示されているのは月経随伴症状の重症度に影響を与える要因と考えられる項目)

224人の若年女性を対象に調査を実施
研究グループは今回、2022年6月~8月に、日常的に運動を行っていない若年女性と、大学の部活動などに所属し定期的に運動を行う女子サッカー選手を対象に、月経随伴症状の重症度と個人特性、生活習慣についてのWebアンケート調査を実施した。
月経随伴症状の重症度は、先行研究で報告されている16の症状のそれぞれの月経前と月経中の重症度を0〜3で評価した。また、個人特性としては、身長や体重、初経年齢や月経の日数など、生活習慣は、食習慣、睡眠状況、身体活動量、ストレス状況を調査した。
回答した224人(運動習慣のない女性99人、運動習慣のある女性125人)のデータを使用し、ロジスティック回帰分析を用いて月経随伴症状の重症度に影響を与える要因を検討した。
研究は、筑波大学体育系の中田由夫教授、順天堂大学スポーツ健康科学部の町田修一教授、 日本女子体育大学体育学部健康スポーツ学科の夏井裕明教授らによるもので、順天堂大学女性スポーツ研究センターの支援を受けて行われた。研究成果は、「BMC Women's Health」に掲載された。
順天堂大学 女性スポーツ研究センター
Comparison of factors associated with the occurrence of menstruation-related symptoms in Japanese women without exercise habits and female soccer players: A cross-sectional study (BMC Women's Health 2025年3月24日)


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