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都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査

 東京都はこのほど、令和6年度東京都福祉保健基礎調査「都民の健康と医療に関する実態と意識」について主な調査結果を公表した。

 生活習慣改善への関心は高まりを見せている一方、特定健診の受診率はコロナ禍前の水準には戻っておらず、保健指導の実施にも課題が見られた。

生活習慣の改善意欲が令和元年度より上昇

 「都民の健康と医療に関する実態と意識」は、東京都が都民の健康状態や医療に対する意識を把握し、保健・医療施策の基礎資料とするために実施している。平成21年度から実施され、令和6年度で4回目となる。

 今回は令和6年10月16日から11月15日にかけて、都内に居住する6,000世帯を対象に実施。2,143世帯から回答を得て回収率は35.7%。

 この中から「健康と医療に関する実態と意識」については満20歳以上、2,658人の世帯員についての回答をまとめた。調査したのは健康状態・食生活の状況や日常生活における歩数の増加と運動の状況など。

 たとえば自分の健康のために、食生活の改善や運動量の増加などの生活習慣をより良い方向にすることに関心があるか聞いた設問では、「大いにある」が39.9%、「少しある」が 47.6%だった。合計すると87.5%の人に食生活や生活習慣の改善意欲があるのがわかる。令和元年度の調査では83.6%だったので、改善意欲の向上が見られる。

 また飲酒の状況についても聞いていて、「お酒を飲む」人の割合は 54.9%、「ほとんど飲まない(飲めない)」人は40.4%、「やめた」人は4.4%だった。令和元年度の調査では「お酒を飲む」が54.3%だったため、飲酒をする人は減っている。お酒を飲む人に頻度を尋ねた調査でも「毎日」が28%で、令和元年度調査の28.9%に比べて減っていた。

特定健康診査の受診率はコロナ前の水準に戻らず

 一方、40歳以上75歳未満の1648人に特定健康診査の状況について尋ねたところ、過去1年間に受けた人(がん検診のみや病院・診療所などで行う治療としての検査などは除く)は66%。令和元年度は72.3%で、コロナ禍の影響で落ち込んだ受診率はまだ同水準に至っていない。

 受診したと答えた人に指摘を受けたかどうか聞いたところ、「指摘あり」は57.8%、「指摘なし」は40.8%。指摘された内容は「脂質異常」が最も多く36.6%、次いで高血圧が24.3%、肥満が18.2%などとなっている。

 指摘を受けた人のうち、特定保健指導を受けた人の割合は28.9%。「案内はあったが受けなかった」が18.1%、「案内がなかった」が37.7%だった。

 受けた特定保健指導の種類は「動機付け支援(原則1回の保健指導)」が62.6%で最多。「積極的支援(3〜6カ月の間、複数回、継続的に保健指導)」は26.4%だった。

 また特定保健指導で計画した内容は、37.4%の人が「おおむね実行している」、36.8%の人が「一部実行している」だった。

 これらの結果から、都民の健康意識は高まりつつある一方、受診行動や支援実施には課題があることがわかる。特定保健指導を受けなかった人へのアプローチ、特に案内が届いていない層へのフォローも求められている。

「都民の健康と医療に関する実態と意識」の結果(速報)(東京都)
[yoshioka]
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