活動量計で見えた日本人の「動く時間・座る時間」――推奨量達成は47.9% 歩数だけでは見えない"低強度活動"の差
明治安田厚生事業団と笹川スポーツ財団はこのほど、身体活動に費やす時間や活動強度、座位時間などを詳細に測定できる活動量計を用いた全国調査の結果をまとめ、公表した。
これまでは身体活動量に関する全国規模かつ代表性のある客観的データが十分ではなく、日本人がどれぐらいの時間、身体を動かしているのか、または座っているのかを明確に把握できていなかった。今回の調査結果から男女や成人、高齢者ごとの身体活動の特徴が見えてきた。
推奨量達成は約50%に
厚生労働省は2024年1月に「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(身体活動ガイド2023)」を公表し、新しい推奨身体活動量を示した。
これは、健康日本21(第三次)における身体活動・運動分野の取組を推進するために策定したもので、筋力トレーニングを週2~3日取り入れることや、座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないよう注意することなどを推奨している。
一方、身体活動量に関する全国規模かつ代表性のある客観的データがなく、実際に国民がどの程度動いているかを明確に把握できていないという課題があった。
そのような中、明治安田厚生事業団と笹川スポーツ財団は共同で、身体活動に費やす時間や活動強度、座位時間を詳細に測定できる「活動量計」を用いた身体活動量の実測や、質問票によるスポーツ実施状況等の調査を2023年度から実施。
2024年には規模を拡大し、全国47都道府県200地点、5400人を対象に調査を行った。解析対象は装着条件(例:1日10時間以上の装着日が4日以上)を満たした1105人。
活動量計には三軸加速度センサーが入っており、身体活動を客観的に測定。腰に装着するだけで身体活動データを定期的に記録し、個人の身体活動量や歩数を記録するため、日常生活で「どのくらい動いているのか」「どのくらい座っているのか」が分かる。対象者は休日を含めた1週間、就寝時や入浴時などを除き装着する。
調査の結果、厚労省の身体活動ガイド2023が推奨する3メッツ以上の身体活動量(成人:1日60分以上相当/高齢者:1日40分以上相当)を満たした人の割合(達成率)は全体の47.9%だった。メッツは安静時を1とした活動強度の指標で、歩行はおおむね3メッツ以上に相当する。
年齢層別の達成率は高齢者(65〜79歳)57.1%に対し、成人(20〜64歳)は45.7%にとどまっており、成人の達成率が低かった。さらに男女別で見た場合、女性の高齢者(65〜79歳)62.4%に対し、女性の成人(20〜64歳)は44.6%と格差が大きい。
1日あたりの身体活動時間・歩数・座位行動時間
立ち仕事や家事、ストレッチなど1日あたりの「低強度」身体活動時間には男女差が見られ、成人男性295分(約4.9時間)に対し、女性は377.3分(約6.3時間)。高齢者は男性300.5分(約5時間)に対して女性が395分(約6.6時間)だった。1日あたりの階段昇降や庭仕事、子どもと遊ぶ、テニス、水泳などの「中高強度」身体活動時間には大きな男女差はなく、成人は56.8分、高齢者は43.9分だった。
また1日あたりの歩数(中央値)は成人が6957歩、高齢者が5381歩だった。同ガイドの推奨歩数(成人8000歩/日、高齢者6000歩/日)と比べると、中央値は推奨値を下回った。
また同ガイドでは座位時間をできるだけ減らし、少しでも身体を動かすよう呼びかけているが、今回の調査結果では成人の座位行動時間は529分(約8.8時間)、高齢者は514.3分(約8.6時間)と9時間に迫る結果となった。男女別に見ると座位行動時間は成人・高齢者ともに男性が長く、特に高齢者で男女差が大きかった。
ほかにも活動量計装着中、運動・スポーツをしていた人で、同ガイドの身体活動量推奨基準を達成していた割合は60.7%。運動・スポーツをしていなかった人は40.5%だった。
研究を担当した明治安田厚生事業団・体力医学研究所、副主任研究員の川上諒子氏は「中高強度の身体活動時間は男女でほぼ同等である一方、低強度の身体活動時間は女性が男性よりも1日あたり約80分長いことが分かりました。
特に女性は、1歩に満たないような細かな動きを長時間行っている傾向がみられ、歩数だけでは把握できない実態を示す貴重なデータとなりました」とコメント。今後も同規模の調査を実施し、国を代表する身体活動実態調査としての位置付けの確立を目指すという。
成人の中高強度身体活動時間は1日56.8分 家事や立ち仕事などの低強度身体活動時間は男性4.9時間/日、女性6.3時間/日 計測機器を用いた国内初の全国調査の報告書を発刊(公益財団法人 明治安田厚生事業団/2025年12月5日) 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(厚生労働省)本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。

