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精神保健相談が過去最多、がん検診は低迷 
令和6年度「地域保健・健康増進事業報告」を公表

精神保健相談が90万件を突破
法改正で「訪問支援」の対象は未診断層へも拡大

 精神保健福祉の相談等延人員をみると、窓口での「相談」が90万5,113人と増加傾向が続き、令和2年度の82万5,450人から約10%増加している。「電話相談」も169万1,890人と高水準で推移している。
 相談内容は、「社会復帰」が22万4,831人で最多、「うつ・うつ状態」15万7,357人、「ひきこもり」4万6,221人と続き、生活課題を抱えた当事者・家族からの相談が広範にわたる。さらに単一の課題ではなく、複雑になり多様化しているケースが背景にあるようだ。

 また、注目すべきは「メール相談」の急伸だ。令和2年度の約2万人から令和6年度は3万8,833人へと大幅に増加(約1.9倍)しており、前年度比では約38%増と急増している。相談手段の多様化とデジタル化が、支援へのアクセス拡大に影響を及ぼしているとみられる。

 精神保健福祉分野における訪問支援(旧・訪問指導)は29万3,879人だった。令和6年4月施行の精神保健福祉法改正に伴い、令和6年度報告から名称が「訪問指導」から「訪問支援」に改められたもので、改正によって支援対象が精神障害者だけでなく「精神保健に課題を抱える者」にまで広がり、医療未介入層も支援の対象となった。
 医療と地域生活をつなぐ役割として、保健師が継続的に関与する重要性は一層高まっている。

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出典:「令和6(2024)年度地域保健・健康増進事業報告の概況」P.6(厚生労働省)

保健師配置の地域格差は最大3.7倍
「人口10万対23.7人」の現状と都市部の課題

 令和6年度末現在、保健所及び市区町村における人口10万人当たりの常勤保健師数は全国平均で23.7人だった。都道府県別では、島根県が50.7人で最多、次いで高知県47.2人、鳥取県42.1人と、中山間地域や人口の少ない県が上位を占めた。

 一方、都市部では10人台前半にとどまる自治体もあり、地域間格差は3倍以上に及ぶ。人口規模の違いによる影響はあるものの、今後都市部でも高齢化が急速に進むことを踏まえると、人員確保は喫緊の課題といえる。

 また、この配置格差は、住民が受ける保健サービスの量と質に直結する。相談件数が増加する中で、1人当たりの負担が大きい自治体では、丁寧な訪問支援の実施が困難となる。今回のような公的データを根拠に、保健師配置の必要性を可視化し、体制整備につなげていく視点が求められる。

データが示す地域保健の変容と構造的課題

 本報告は、乳幼児期の食育から現役世代の生活習慣病予防まで、地域保健の対象が全世代へ多層的に拡大している実態を示している。がん検診受診率が低迷する一方で、精神保健分野ではメール相談が前年比約38%増となるなど、ニーズの質的な変化も顕著である。

 5年間で約6割増加した健康増進指導の事業量や、高水準で推移する相談件数は、現場のマンパワー不足が指摘されている背景を裏付ける結果といえる。人員配置の地域間格差という課題も依然として存在しており、限られたリソースの有効活用が今後の共通の論点となるだろう。

 今後は、個別支援で得られた知見を統計データに基づいた地域全体の施策へと還元していく視点がより重要となる。職域保健との連携強化を含め、客観的な根拠に基づいた保健活動を展開していくことが、地域全体の健康を支える基盤になると考えられる。

参 考

「令和6(2024)年度地域保健・健康増進事業報告の概況|厚生労働省(2026年3月17日)

[保健指導リソースガイド編集部]