熱波で精神疾患による入院が増える可能性
熱波の発生が精神疾患による入院の増加に関連していることを示すデータが報告された。熱波発生から8日間で入院患者が5.6%増えるという。モナシュ大学(オーストラリア)のYuming Guo氏らの研究によるもので、詳細は7月10日付で「Nature Health」に掲載された。最も顕著な入院の増加は、不安症患者やパーソナリティー障害のある人で認められるという。
この研究では、2000~2019年にかけて、カナダ、ブラジル、チリ、ニュージーランドという4カ国、852カ所で、温暖な季節における261万8,307件の精神・行動障害による入院記録を用いて、熱波との関連を解析した。熱波は、各地点の日平均気温の97.5パーセンタイルを上回る気温が連続4日間記録された場合と定義した。
解析の結果、熱波発生日には精神疾患による入院件数が3.3%増加していた(相対リスク〔RR〕1.033〔95%信頼区間1.007~1.059〕)。また、熱波発生日から8日間では5.6%増加していた(RR1.056〔同1.011~1.103〕)。論文の上席著者であるGuo氏は、「われわれの研究結果は、熱波が精神疾患関連の入院を増加させる可能性があり、深刻な熱波発生に備えて的を絞った対策を取る必要性を示している」と述べている。
熱波の際の入院件数の増加を疾患別に見ると、不安症患者では22.9%、パーソナリティー障害のある人では21.7%と顕著な増加が観察された。ほかにも、統合失調症患者では8.2%増加し、薬物乱用の問題を抱えている人では7.2%増加していた。また、若年者(20歳未満)や高齢者、および人口密度の低い地域の居住者は、熱波の影響をより受けやすいことも分かった。
熱波によって精神疾患関連の入院が増加する背景について、著者らは、熱波が睡眠障害や生理的ストレス反応を介して精神・行動障害を急性に悪化させる可能性があると考察している。また、体温調節機能が低下している人や、薬剤の影響で暑さに弱くなっている人では、より影響を受けやすい可能性があるとしている。
論文の共著者であるShanshan Li氏は同大学発のリリースの中で、「気候変動は世界規模でメンタルヘルスに影響を与え得る喫緊の要因として浮上しており、異常気象や資源不足、生態系の変化などが心理的ストレスとメンタルヘルスのリスクを増幅させている」と記している。著者らはこれらの考察を基に、「熱波に関連するメンタルヘルスのリスクを抑制するため、対象を絞った公衆衛生対策が必要である」と付け加えている。
[HealthDay News 2026年7月14日]
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