No.2 地域の食文化をのぞいてみよう(沖縄編)
医療・保健ジャーナリスト
西内 義雄
前回は醤油に着目した地域の食文化・食習慣について触れました。今回は地域ごとに見られるユニークなスーパーマーケットの売り場。さらには居酒屋でのメニューなどもご紹介しながら、健康と食について考えてみようと思います。
まずは食文化の違いがとても分かりやすいので、沖縄県からいきましょう!
*画像は3~6年ほど前のものなので現在と価格表記などは異なります。
スーパーマーケット編
おにぎり
惣菜売り場のおにぎりコーナーです。形が違う(三角でなく四角)のはもちろん、左からロコモコ風、ポーク玉子(ゴーヤ)、ポーク玉子(ツナマヨ)など、名前を見ただけで具材が他県と違います。他の地域では鮭や梅干など、ご飯の真ん中に少しだけ具材を入れるのが主流なのに、沖縄ではサンドイッチ状態で、具材もたっぷり入っています。これひとつ食べただけでかなりのカロリーがあることも想像つくのではないでしょうか?
チューリップポーク
どーんと並べられたポークランチョンミートの山です。おにぎりの具材やチャンプルーなど、沖縄の料理には欠かせない素材なので、輸入品といえどもかなり安く、大量に売っています。いかに地域に根付いた食材なのかが分かる光景です。
シーチキン
いわゆるツナ缶ですね。注目していただきたいのは値段ではありません。この無造作に置かれた24個入りの箱が重要なのです。ご存知の方も多いでしょうが、沖縄ではポークランチョンミート以上にツナ缶が料理に使われていまして、あらゆるものにこれを入れます。他県なら5缶入りを買えば1ヶ月以上は持つのに、沖縄では24缶入りでも1ヶ月持たないというほど使われます。だから売り方もこのような箱売り。ヘタな贈り物をするくらいなら、ツナ缶のほうが喜ばれるというほどの存在だそうです。
油売り場
沖縄の家庭では炒める、揚げることが多く、油の使用量もかなりのものです。この油売り場を見ても、種類の多さに驚かされるますね。でも、もっと注目したいのは右下に一斗缶(18L入り)まであったことです。どの家庭にもあるわけじゃないでしょうが、需要があるから置いているわけで、いかに油の使用量が多いかを知る目安になりますね。
肉売り場
普通の肉も売っています。けれどあえてここを写したのは、最下段にあるスペアリブと下から2段目のてびち(豚足)に注目していただきたかったからです。スペアリブは脂たっぷりですし、てびちはコラーゲンたっぷり!? 1パックあたり500gが普通なのも沖縄らしさかもしれません。
魚=グルクン
沖縄を代表する魚といえばグルクンでしょう。どのスーパーにいってもよく見かけます。一部の居酒屋では刺身にしてくれるところもありますが、現地で好まれているのは揚げることです。焼くことはあまりしないといいます。そもそも、沖縄の家庭のコンロは、魚を焼くグリルを滅多に使わないとの話もありました。これも食文化のひとつですね。
そーめん
離島(粟国島)のスーパーで見つけた乾麺売り場です。そーめんが目立つのは、沖縄が暑いから、さっぱりしたものを食べたい人が多いからではありません。よく見ると、上段左のそーめん袋には調理例としてチャンプルーの写真が出ています。そう、つまりそーめんも炒め用として売られているわけですね。味付けは、さきほども登場したシーチキンを油ごと入れるのが一般的といいます。
居酒屋、街中編
さて、今度はさらに深く居酒屋や街中で食も見てみましょう。
グルクンから揚げ
まずは先ほどの魚売り場で登場したグルクンの唐揚です。これはもう定番中の定番といえますね。
刺身
居酒屋に行けば、結構地魚の刺身も食べることができます。ちょっと盛ってもらったところ、皮付きで切り分けるスタイルが多かったです。切り身も大きめで、醤油は少し甘めに感じました。
刺身
こちらの刺し盛も皮付きの切り身が多かったです。薬味としてゴーヤが使われていたことに少々驚きもありました。
ポーク玉子
コンビニで購入したおにぎり=ポーク玉子油みそです。名前からして、カロリーの高さは容易に想像できるのではないでしょうか? でも、食べてみると確かにおいしい。癖になります。だから太る?
そーめんチャンプルー
家庭でも居酒屋でもよく出会うのがチャンプルーです。写真は居酒屋のそーめんチャンプルーで、かなりシンプルな作りになっています。油はかなり多めに使われています。
てんぷらメニュー
街中にはたくさんのてんぷら屋さんがあります。沖縄では東京でいうところの天麩羅とは違い、フリッターのような揚げ方で、住民はおやつとして、子供も学校帰りにぱくぱく食べている姿を見ました。写真はそのてんぷら屋さんのメニューで、価格の安さが目を引きます。それでいてボリューム&カロリー満点!
それって普通でしょうか?
いかがでしたか? 皆さんの地域のスーパーマーケットや街中で見られるものと、かなり違っていたのではありませんか?
「さすが沖縄、食べているものが違うのね」
あらためて感じた方もいることでしょう。しかしですね、皆さんの地域の食文化・食習慣だって、他県の方から見れば、驚きのものが結構あるものです。地元では普通のことでも、全国で調査したら、とても珍しいことだったというのもよく聞く話です。
その証拠に、私が写真を撮らせていただいた各地のスーパーマーケットの担当者、とくに地元資本のところでは
「ウチなんか撮っても何も珍しいものなどありませんよ」
と、よくいわれました。きっと、住民も、そして保健担当者もそう思っているものがあるはずです。
そのあたりをしっかり把握することで、地域の健康を考えるヒントも生まれてくるのではないでしょうか?