日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善

「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を繰り返すインターバル速歩
「インターバル速歩」は、信州大学大学院医学系研究科の能勢博特任教授が考案したウォーキング法。
NPO法人である熟年体育大学リサーチセンターによると、インターバル速歩は、「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を数分間ずつ交互に繰り返すもの。
筋肉に負荷をかける「さっさか歩き」と、負荷の少ない「ゆっくり歩き」を合わせることで、筋力・持久力を無理なく向上させることができ、骨密度の増加や生活習慣病リスクの改善などの効果も期待できるとしている。
インターバル速歩が体力や健康状態を改善
同NPO法人などが、長野県内で5,400人超の中高年者を対象に、インターバル速歩による運動処方を検証した結果、4ヵ月間のトレーニングで、体力が最大10~20%向上し、生活習慣病の症状が10~20%改善するなど、医療費削減の効果が実証された。
同NPO法人などは、インターバル速歩による運動処方をどこでも受けられるスマートフォンアプリ「i-Walk Gym」なども開発している。
遠く離れた場所に住んでいる人も、トレーナーから運動処方を受けることができ、都合の良い場所と時間に、インターバル速歩を実施することが可能になっている。
インターバル速歩が海外で「日本式ウォーキング」と話題に
信州大学などが提唱している「インターバル速歩」を、米国のシンシナティ大学、カリフォルニア大学、ワシントンポスト紙などが紹介している。
インターバル速歩は最近、「日本式ウォーキング」として紹介され、SNS(TikTok)で話題になった。
カリフォルニア大学で統合健康・パフォーマンス心理学を研究しているバーバラ ウォーカー氏は、中高年者がインターバル速歩を1日30分間、週4日以上行った研究を紹介している。
3分間の速歩と3分間の低速歩行を繰り返すインターバル速歩を行ったグループは、従来の中強度のペースで歩行をしたグループに比べて、より血圧が低下し、大腿筋が強くなり、有酸素能力が向上した。
インターバル速歩にはマインドフルネスの要素もある
ウォーカー氏によると、インターバル速歩には心血管系への効果だけでなく、心理的な効果もあるという。
運動にマインドフルネスを組み合わせることで、精神的な健康とウェルビーイングも改善できると注目されいる。
マインドフルネスを日本語であらわすと、「気付くこと」「意識すること」という意味。ストレス緩和やリラックスに役立つウォーキング、ヨガやストレッチ、瞑想などを実践することが、メンタルヘルスの改善に役立つという研究は増えている。
「とくに自然な豊かな場所で行うマインドフルウォーキングは、血圧を下げ、ストレスホルモンであるコルチゾールを減らし、集中力や睡眠を改善し、気分を安定させる効果があることが示されています」と、ウォーカー氏はワシントンポスト紙の記事で述べている。
「インターバル速歩のアプローチと組み合わせることで、心理的な効果をさらに高められると期待されます。自然にふれることでベネフィットを得られ、身体活動の達成可能な目標を設定することでモチベーションを上げられます」としている。
インターバル速歩 (NPO法人 熟年体育大学リサーチセンター)
Interval Walking Training for Middle-Aged and Older People: Methods and Evidence (IEICE Transactions on Communications 2014年3月1日)
信州大学発「インターバル速歩」は日本を代表するウォーキング法?(信州大学大学院医学系研究科 バイオメディカル研究所)
Just 30 minutes a day of 'Japanese walking' may help you get in shape (シンシナティ大学 2025年7月14日)
Health benefits of interval walking training (Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism 2024年5月3日)


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