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保健師スピリッツと実践活動
 熊本地震から1月ほど経った日、TVは、被災住民を支援する市役所職員や医療者が精神的に追い込まれ涙を流す姿を報じていました。

 その情景は福島の原発事故で保健師が語っていた苦悩と重なり、胸がしめつけられました。福島の保健師は、行政に対する住民の不満が保健師に向かって吐き出され、「私たちは厳しい板挟みにさらされていた」と、涙で語っていたのです。事故の情報が行政から来ないうえに、自分たちに放射線の知識が十分でない。その状態で住民に向き合わなくてはならなかった保健師の苦悩は、熊本と同様の、あるいはもっと厳しいものであったに違いありません。

 私は、保健師が放射線について学ぶことは専門職としての権利であると、先日このサイトに書きました>>保健師と看護学生に放射線を教える・学ぶ )。

 国は法令で、保健指導や健康危機管理の役割を保健師に求めているのですから、それに必要な教育の提供は国の義務だと思うからです。しかし、待っているだけでは物事は変わらないでしょう。看護専門職として暗黙のうちに抱いてきた教育ニーズの見える化を、保健師自身でしない限り。

 保健師は実践で、患者・住民・行政などと接し、困った、対応できない、という思いを抱いた経験を持っている筈です。それが暗黙の教育ニーズです。福島の事故以来、私は多くの保健師と接し、その暗黙のニーズを感じとってきました。本シリーズでは、それらを言葉にし、見える化につなげたいと思います。

小西 恵美子
長野県看護大学名誉教授、
鹿児島大学医学部客員研究員
経歴:
長野県松本市出身。
東京大学医学部衛生看護学科卒、医学博士、看護師、保健師、第一種放射線取扱主任者。
東京大学原子力研究総合センターで放射線健康管理の実践・研究。ここで看護師の放射線教育に関わった後、東大病院内科看護師、長野県看護大学、大分県立看護科学大学、佐久大学の教授を歴任。
専門は看護倫理と放射線看護。

■ 最近の主な著書と論文:
改訂版「看護倫理-よい看護・よい看護師への道しるべ」
(南江堂 2015)
「看護倫理を教える・学ぶ」
(日本看護協会出版会 2007)
・「ベンダーヘルスプロモーション看護論」
(日本看護協会出版会 1997)
・「放射能汚染で食生活はどう変わるか」
( 集英社Kotoba 2011年第5号)
・「原発災害復旧後のいま、保健師が知っておきたい放射線防護の基本」
(医学書院保健師ジャーナル2012年8月号)
・Post-Fukushima radiation education for public health nursing students: A case study.
(International Nursing Review 63, 292-299, 2016.)ほか。