【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ

とくに若い世代は食生活について「無関心」が多い
産官学の連携・協働による食育の取り組みも必要
農林水産省は「2024年度 食育白書」を公表した。
2024年に実施した「食育に関する意識調査」では、食育に「関心がない」と回答した人の理由は、4割が「食事や食生活への関心はあるが、食費を安くすることの方が重要だから」で、食料消費などについて経済性志向が強いことが示された。
また、成人を対象とした「大人の食育」については、健全な食生活の実践をこころがけている人は75%に上り、おおもね男性よりも女性で多かったが、「関心がない」という人は、女性でも20歳代では42%に上った。
これまでも課題とされてきた、若い男性に加え、若い女性の食生活についても、改善に向けたさらなる取り組みが必要としている。
学校での食育教育に加え、自ら食生活を営むようになった大学生や新入社員などに対しても、食育授業や従業員に対する食育の取り組みを広げていくことを通じて、健全な食生活の実践を促すことが必要としている。
さらに、食料品や食関連サービスの提供を通じて、消費行動に働きかけることのできる食品事業者などによる食育の取り組みについて、産官学の連携・協働のもとで展開をはかり、時間や手間をかけず健全な食生活を実践することができる食材や調理方法などの普及啓発、高齢単身世帯などの食生活改善につながる取り組みを推進することが重要としている。

「大人の食育」の取り組み事例を紹介
「食育白書」では、食品事業者などによる食育や、従業員に対する食育の特徴的な取り組みなど、子育て世代のニーズや各世代の課題に対応したさまざまな「大人の食育」の取り組み事例が紹介されている。
お茶の魅力を発信し、豊かな食生活に貢献する 伊藤園 (東京都) |
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お茶の楽しみ方を多くの人に体験してもらうことを目的に、セミナーや体験活動、日本茶文化啓発活動などを実施。 |
野菜にときめく、好きになる!~野菜摂取量増加に向けた環境づくり~ 深谷ベジタブルコミュニケーション (埼玉県) |
気軽に収穫体験に参加できる体験農園、近隣農家から仕入れた新鮮な野菜・果物を販売するマルシェ、地産地消に長年取り組む有名シェフが監修をするレストランなどのプログラムを設定。野菜を調理した経験がない若者向けの体験型研修も実施。 |
これであなたも野菜博士!?~食のプロが広げる企業での食育~ VACAVO (東京都) |
企業向けに健康経営や福利厚生のための食育プログラムの開発・運営を行っており、企業の従業員が野菜の知識を学び、食を楽しむ機会を提供するプログラム「食育マルシェ」を実施。 |
食堂と保健師で従業員の健康を推進する取り組み ジェイテクトギヤシステム (愛知県) |
社員食堂で、管理栄養士による栄養バランスに配慮した食事を提供。1食あたり野菜が150~200g以上、500~600kcal前後のメニューを毎日2種類日替わりで提供。 |
産後の孤立をなくし、命と希望を明日へとつなげる「赤ちゃん食堂」の取り組み 赤ちゃん食堂プロジェクトままな (神奈川県) |
離乳食完了期までの乳児とその家族の「食と育児」の駆け込み寺として、離乳食を無料で提供する「赤ちゃん食堂ままな」を運営。離乳食期の同じ悩みを抱える親や助産師などと話しながら、同じ食事を囲むことで、一歩ふみこんだ会話が自然と生まれ、親同士の交流が深まるきっかけに。 |
各務原にんじんを使った幅広い世代に向けた食育の取り組み 東海学院大学 (岐阜県) |
地域特産の「各務原にんじん」を使用し、規格外のにんじんも使い、離乳食講座や小~大学生に向けた食育講座、高齢者を対象にしたフレイル予防料理教室などを開催し、世代ごとの課題に応じた食育を実施。 |
「大人の食育」を官民連携で推進
農林水産省は、大人を対象に、食や農に対する理解を深めてもらい、健康な食事をとって、楽しい食の時間を過ごしてもらうために、民間企業とも連携し、「大人の食育」を推進する官民連携の食育プラットフォームを立ち上げた。
食卓と生産現場の距離を縮めて、農に対する理解を深めてもらうことも狙っている。
▼朝食を食べよう、▼バランス良く食べよう、▼食や農の現場を体験しようといった、具体的なテーマでモデル的プロジェクトに取り組むことを計画している。
参画する各社による食育活動の発信や、企業間の取り組み連携のほか、国・地方の行政、教育関係者、農林漁業者などとの新たな連携の創出により、さまざまなかたで大人の消費者への働きかけを進める。食育に取り組む企業間の交流会や勉強会も行う予定としている。


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