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「不飽和脂肪酸」が肥満リスクを打ち消す 悪玉コレステロールを低下 脂肪とコレステロールをコントロール

 魚などに含まれるn-3系脂肪酸を良く摂取している人は、心筋梗塞や脳卒中のリスクが低いことが明らかになった。糖尿病の人が不飽和脂肪酸を摂取すると、死亡リスクを減らせるという研究も発表された。不飽和脂肪酸には、糖尿病の遺伝的リスクを打ち消す働きもあるという。
 食事ガイドラインでは、とくに脂肪の摂取量の多い人で、飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えることが勧められている。
不飽和脂肪酸が悪玉コレステロールを低下
 脂肪は、▼多価不飽和脂肪酸、▼一価不飽和脂肪酸、▼飽和脂肪酸の3種類がある。体内のコレステロールを増えやすくするのは飽和脂肪酸を多く含む食品、逆に体内のコレステロールを下げる働きがあるのは不飽和脂肪酸を多く含む食品だ。

 このうち不飽和脂肪酸は、魚の脂や植物性食品に多く含まれ、体内で合成できない。αリノレン酸・リノール酸・アラキドン酸などの多価不飽和脂肪酸は、食品から摂取する必要がある。

 油の多い肉類、ラード、バターなど、主に動物性食品に含まれる飽和脂肪酸は、摂り過ぎると動脈硬化を進行させる。油というと、炒めたり揚げたりする目に見えるものをイメージしがちだが、菓子やパン類、カレールーなどの加工食品にも含まれる、目に見えない油脂にも注意が必要だ。

 飽和脂肪酸を控え、代わりに魚介類、ナッツ類、豆類、オリーブ油・キャノーラ油・大豆油などの植物油を摂取することで、脂肪酸のバランスを整えられる。

 これらの不飽和脂肪酸には、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用がある。一価不飽和脂肪酸でよく知られているオレイン酸はオリーブ油に多く含まれ、血液中のLDLコレステロールを下げる効果が報告されている。

関連情報
不飽和脂肪は心疾患のリスクを減らす
 多価不飽和脂肪酸はn-3系とn-6系に分けられる。魚のn-3系不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)は、中性脂肪を下げ、血栓(血のかたまり)ができるのを防ぎ、動脈硬化を予防する働きをすることが知られる。

 血中のn-3系脂肪酸レベルは、コレステロール値よりも死亡リスクの正確な予測手段になるかもしれないという研究を、スタンフォード大学などが発表した。n-3系脂肪酸レベルの高い人は、低い人に比べて死亡リスクが約33%低くなることが示された。

 この研究は、1948年に開始された「フラミンガム心臓研究」の当初の参加者の子孫2,500人を追跡したもの。今回の研究では、参加者の年齢は試験開始時点で66歳で、73歳前後になるまで追跡して調査した。

 その結果、n-3系脂肪酸濃度が高いほど、心血管疾患と、虚血性心疾患、脳卒中のリスクが低いことが明らかになった。とくに、心血管疾患やがんで以外の全ての死因とn-3系脂肪酸濃度は強く関連していた。

 先行する3件の研究でも、n-3系脂肪酸レベルの高さが死亡リスクの低さに関連することが示されている。今回の研究では、血中コレステロール値よりもn-3系脂肪酸の方が、心疾患のリスク評価をする上で効果的であることも分かった。

 「心疾患は、加齢、肥満、糖尿病、喫煙などの要因によってもリスクが高くなります。バター、ラードやクリーム、チーズ、肉といったものにも飽和脂肪酸が含まれます。これらの食品の過剰な摂取には注意が必要です」と、スタンフォード大学医学部内科学部のウィリアム ハリス氏は言う。
不飽和脂肪酸が糖尿病患者の死亡リスクを低下
 2型糖尿病患者が、飽和脂肪酸の代わりに不飽和脂肪酸を摂取すると、死亡リスクを減少できることを、米国のハーバード公衆衛生大学院などの研究チームが明らかにした。

 研究チームは、「看護師健康研究」(1980~2014年)および「医療者追跡研究」(1986~2014年)に参加した、1万1,264人の2型糖尿病患者を対象に、不飽和脂肪酸の摂取と死亡との関連について調べた。

 これまで、飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えると死亡リスクを下げられること、また不飽和脂肪酸を摂ることで、心血管疾患、がん、神経変性疾患、呼吸器疾患による死亡リスクを減少できることが報告されているが、対象を2型糖尿病患者に絞った研究は今回がはじめてだ。

 その結果、多価不飽和脂肪酸を摂取すると、全死亡および心血管死のリスクを減少できることが明らかになった。また、飽和脂肪酸からのエネルギーの2%を不飽和脂肪酸に置き換えると、全死亡のリスクを12%減少できることが判明した。
脂肪とコレステロールをコントロールするために
 血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪などの脂質の量が増えすぎることで、動脈硬化が進行しやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などが引き起こされやすくなる。もしこれらの値が異常と診断されたら、食事や運動などの生活スタイルを改善することが必要だ。

 ハーバード公衆衛生大学院は、脂肪とコレステロールをコントロールするために、次のことをアドバイスしている。

● 肉の代わりに魚を食べる

 食事で摂取する脂肪について、もっとも重要なことは、どんな脂肪を選んで摂取するかだ。以前の食事指導では、低脂肪食が勧められることが多かったが、最近の研究では、健康に悪い脂肪と良い脂肪があることが分かってきた。

 食事では動物の肉を減らし、魚を増やすことは、糖尿病の食事療法でも勧められる。肉の動物性脂肪には、飽和脂肪酸が多く含まれていて、これが悪玉のLDLコレステロールを増やしてしまう。飽和脂肪酸がとくに多いのは、牛や豚のバラ肉、鶏肉の皮、加工肉などだ。

 一方、魚に多く含まれる多価不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やさない。しかも、中性脂肪を減らし動脈硬化を防ぐ働きもある。多価不飽和脂肪酸がとくに多いのはサバ・サンマ・ブリ・イワシなどの青魚だ。

● 食物繊維や大豆製品を十分に摂る

 食物繊維には、食事に含まれるコレステロールの吸収を抑え、悪玉のLDLコレステロールを減らす働きがある。食物繊維が多く含まれている野菜やきのこ、海藻類、果物、全粒穀物などを積極的に食べよう。

 大豆も食物繊維が豊富に含まれていて、悪玉のLDLコレステロールを減らす働きがある不飽和脂肪酸も多く含まれている。大豆にはタンパク質をはじめ、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル、カリウム、マグネシウムなども含まれる。

 大豆は、日本でも古くから親しまれてきた食材のひとつ。日本食は、もやしや枝豆、豆腐、納豆、味噌、しょうゆ、油揚げなどさまざまな大豆食品があり、世界的に評価が高い。

● ウォーキングなどの有酸素運動を習慣化する

 運動には中性脂肪を減らす、善玉のHDLコレステロールを増やす、動脈硬化を防ぐなどさまざまな効果がある。コレステロールや中性脂肪の値を改善するための運動は、ウォーキングなどの有酸素運動が適している。

 運動ガイドラインでは、ややきついと感じ、汗が少しにじむ程度の強さで、できれば毎日30分以上行うことが勧められている。1度に30分行う代わりに、10分ずつ3回に分けるといった方法でも効果的だ。

 ウォーキング以外にも、水中運動やサイクリング、ダンスなども勧められている。有酸素運動では、体脂肪の燃焼に加え、呼吸循環器系の機能の向上なども期待できる。

 糖尿病・高血圧・心臓病、関節症などがある場合は、医師によるメディカルチェックを受ける必要がある。安全に運動を続けるために、必要に応じて運動プログラムの見直しが行われることもあるが、多くの場合で運動は効果的だ。

 メディカルチェックを行うことで、身体の状態を捉え、治療すべき病気や改善すべき生活習慣をみつけることもできる。

Dietary Fat and Disease(ハーバード公衆衛生大学院 )
Standards of Medical Care in Diabetes--2019(米国糖尿病学会 2019年1月)
Dietary fats and mortality among patients with type 2 diabetes: analysis in two population based cohort studies(ブリティッシュ メディカル ジャーナル 2019年7月2日)
Erythrocyte long-chain omega-3 fatty acid levels are inversely associated with mortality and with incident cardiovascular disease: The Framingham Heart Study(Journal of Clinical Lipidology 2018年3月15日)
Study shows omega-3 levels better predictors of death risk than serum cholesterol(OmegaQuant 2018年3月15日)
[Terahata]

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