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小規模事業場のストレスチェック義務化へ向け実施マニュアル公表 外部資源活用による実務モデルを提示

マニュアルの主なポイント

①ストレスチェックの目的は「一次予防」

マニュアルでは、ストレスチェックは精神疾患のスクリーニングではなく、メンタル不調の未然防止および職場環境改善につなげる一次予防を目的とすることが明確にされている。業者には、メンタルヘルス対策を経営課題として位置付けることが求められている。

②実務担当者を置き、外部資源の活用を前提に

産業医が選任されていない小規模事業場では、衛生推進者等を実務担当者として選任し、調査票の配布・回収、結果集計等の実務については外部機関への委託を活用する方法が示されている。これにより、実務負担の軽減とプライバシー保護の確保が期待される。
委託先の選定にあたっては、実施体制、料金体系、情報管理体制等の確認が必要とされている。

③調査票として簡易調査票を例示

使用する調査票として、職業性ストレス簡易調査票(57項目版、または23項目の簡略版)が例示されている。実施頻度は年1回で、紙・ウェブいずれの方法も可能。
なお、労働者数50人未満の事業場については、負担軽減のため、労働基準監督署への報告義務の対象外とする整理が示されている。

④小規模事業場ではプライバシー保護に特に留意

小規模事業場では個人が特定されやすいことから、プライバシー保護への配慮が強調されている。個人結果は原則として事業者は取得しないこととされており、本人同意がある場合に限り取得可能とされる。集団分析についても10人未満のグループでは原則として実施しない取扱いとされるなど、小規模事業場に配慮した運用基準が示された。

⑤高ストレス者対応は地産保などの活用を想定

高ストレス者への医師面接は、地域産業保健センター(地産保)を無料で利用できる仕組みがある。マニュアルでは、地産保や外部機関を通じた面接実施や、オンライン面談の活用についても言及されている。

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出典:「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル 」P.11(厚生労働省)

施行に向けた実務課題 地域産業保健体制の整備が鍵

 本マニュアルの公表は、産業医、保健師、衛生管理者、地域の産業保健機関にとって、今後の支援体制整備を検討する契機となる。施行日は今後政令で定められるが、義務化を見据えた準備はすでに求められている。

 特に地域産業保健センターや産業保健総合支援センターでは、小規模事業場からの相談や委託の増加が見込まれる。受託体制の整備、実施者・実務担当者への研修、さらに事後対応を担う医療機関との連携ネットワークの構築など、準備すべき課題は少なくない。

 ストレスチェック制度は、実施そのものではなく、結果を踏まえた職場環境改善につなげて初めて意義を持つ制度であり、一次予防の出発点と位置付けられる。小規模事業場への義務拡大を契機に、関係機関が連携し、制度を実効性のある形で定着させていくことが求められる。

参 考

「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表します|厚生労働省(2026年2月25日)
小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省
ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会|厚生労働省
ストレスチェック制度について|働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」

[保健指導リソースガイド編集部]