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事業場の健康保持増進の在り方検討会が始動 「攻めの予防医療」を背景にTHP指針見直しへ

 少子高齢化が進む中、現政権が掲げる「攻めの予防医療」を受け、厚生労働省は令和8年4月、事業場における労働者の健康保持増進の在り方を見直す検討会を立ち上げた。
 昭和63年の策定以降、これまでも改正を重ねてきたTHP指針だが、今回は社会環境の変化を踏まえた見直しが検討されており、今後の議論の動向が注目される。

検討会設置の背景と政府方針

 厚生労働省は令和8年4月24日、「事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会」の第1回会合を開催した。

 この検討会が生まれた背景には、政府が打ち出した「攻めの予防医療」という方針が示されている。高市早苗首相は令和7年10月の所信表明演説で、「攻めの予防医療」を徹底し、健康寿命の延伸を図ることで、皆が元気に活躍し、社会保障の担い手となっていただけるように取り組むと表明した。
 続く令和8年2月の施政方針演説でも、データヘルスや保険者機能の強化、健康経営に取り組む地域企業への支援、がん検診・歯科健診の推進を通じ、「攻めの予防医療」を具体化させると明言した。

 「攻めの予防医療」とは、病気になってから治療する従来の発想を変え、病気の発症前から健康維持・増進に積極的に取り組む考え方として位置付けられている。医療費の増大を抑制しながら、働き手の健康維持と労働参加を支える狙いがある。
 生産年齢人口が急減する日本において、国民が元気に活躍し、社会保障の支え手となる期間を延ばすことは急務であり、職場での健康づくりはその最前線と位置付けられている。

性差に着目した健康政策の検討動向

 こうした流れの中で、同時期に、政府全体でも性差に着目した健康政策の検討が進められている。内閣官房も令和7年12月、「攻めの予防医療に向けた性差に由来するヘルスケアに関する副大臣等会議」を設置し、女性特有の健康課題を中心に検討を重ねてきた。

 この会議は令和8年4月23日に第4回を開き、性差に由来する健康課題への対応を推進するための論点整理案をまとめた。厚生労働省の検討会とほぼ同時期の開催で、政府全体で「攻めの予防医療」を政策として具体化しようとする動きが加速している。また、これらの検討をとりまとめ、「骨太の方針2026」などに反映させるとしている。

職域環境の変化と、現行制度とのギャップ

 今回の検討会が対象とするのは、昭和63年に策定された「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(THP指針)である。THP(Total Health Promotion Plan)は、事業場が労働者の心身の健康づくりを総合的に進めるための枠組みとして、長年活用されてきた。

 しかし、指針策定当時と現在では、働く環境は大きく変化している。第1回会合では「労働者の健康を取り巻く状況について」が議題となり、職域を取り巻く環境変化が幅広く整理された。

 指針は近年も改正が重ねられてきたが、働き手の高年齢化や働き方の多様化、メンタルヘルス不調の増加、スマートフォンやウェアラブル端末などデジタル技術の普及など、近年の変化により、現行指針と現在の職域課題との間にギャップが生じている現状が改めて浮き彫りとなった。

[保健指導リソースガイド編集部]