リモートワークでは「歩数増加」がストレスを軽減&労働生産性向上のカギに?
筑波大学と慶應義塾大学の研究グループがこのほど、週に1日以上リモートワークを行う日本人労働者100人のデータを分析した。
その結果、1日の歩数が多い人ほどストレス反応が低く、ストレス反応を介して仕事のパフォーマンスの高さと間接的に関連することが示された。
身体活動を取り入れることが労働生産性の向上につながる
会社以外の場所で働くリモートワークや、出勤とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」は、勤務形態の柔軟性を高め、通勤の負担を軽減できるといったメリットがある。一方で、身体活動の減少や座位時間の増加、社会的孤立、仕事と生活の境界の曖昧化といった課題も指摘されている。
これまでの研究でも、身体活動や座位時間がストレス反応や仕事のパフォーマンスと関連する可能性が示されてきた。ただし、リモートワークを行う労働者においても同様の関連がみられるかを調べた研究は限られていた。
そこで研究グループは、リモートワークを行う日本人労働者を対象に、身体活動や座位時間と仕事のパフォーマンスとの関連においてストレス反応がどのように関わっているかを調べた。
分析に用いたのは、研究グループが過去に実施した、日本のオフィス労働者を対象とする2つの身体活動促進介入研究のベースラインデータ。これらの研究では、対象者が腰部に3軸加速度計を7日間連続して装着し、歩数や身体活動、座位時間を計測していた。ストレス反応と仕事のパフォーマンスについては、それぞれ質問票を使って測定した。
このうち、週に少なくとも1日はリモートワークを行い、有効な加速度計と質問票のデータが得られた100人を分析対象とした。平均年齢は44.3歳で、女性が28%を占め、1週間あたりのリモートワーク日数は平均3.1日だった。 また1日あたりの平均歩数は5574歩、平均座位時間は630.5分で、加速度計を少なくとも3日間、1日10時間以上装着したデータのみを採用した。
年齢や性別、BMI、勤続年数、リモートワークの日数などの影響を考慮して分析した結果、1日の歩数が1000歩多いごとにストレス反応スコアは1.03ポイント低かった。また、ストレス反応スコアが1ポイント高いごとに、仕事のパフォーマンススコアは0.47ポイント低かった。
さらに媒介分析を行ったところ、1日の歩数は、ストレス反応を介して仕事のパフォーマンスと間接的に関連していることが分かった。つまり、リモートワークをしている労働者でも、歩数が多い人ほどストレス反応が低く、それを介して仕事のパフォーマンスも高い傾向にある可能性が示されたことになる。
一方、低強度の身体活動、中高強度の身体活動、座位時間については、ストレス反応を介した仕事のパフォーマンスとの間接的な関連は認められなかった。単に特定の強度の活動時間を増やすことよりも、日常生活の中で歩行を含む移動量を確保することが、ストレス反応や仕事のパフォーマンスと関連している可能性があるという。
研究グループは今後、縦断研究や介入研究を通じて、身体活動とストレス反応、仕事のパフォーマンスとの因果関係を明らかにする必要があるとしている。
また、リモートワークやハイブリッドワークを行う労働者の身体活動を促すため、長時間の座位行動を中断して短時間の身体活動を取り入れる「アクティブブレイク」の導入や、日々の身体活動を促す業務ルーティンの構築などが、企業に求められる実践的な対策になるとしている。
リモート労働者の歩数増加がストレスを軽減し労働生産性を高める(慶應義塾大学/2026年6月19日)本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。


